オブリビオン (2013年の映画)

オブリビオン

2013年に公開されたSF映画。ジョセフ・コシンスキーが監督と共同製作を務め、彼とアルヴィド・ネルソンによる未発表のグラフィックノベルを原作としている。脚本はウィリアム・モナハンらが手掛け、トム・クルーズが主演するほか、オルガ・キュリレンコ、アンドレア・ライズボロー、モーガン・フリーマンらが出演する。

作品概要

西暦2077年。60年前に地球を侵略した異星体「スカヴ」との戦いは終結したものの、核兵器の使用によって地球は荒廃した。生き残った人類の大半は土星の衛星タイタンへの移住を余儀なくされ、地球にはわずかな人々だけが残されている。物語は、地上に残された数少ない技術者の一人であるジャック・ハーパーを中心に展開する。彼は相棒のヴィクトリアと共に、記憶を消去された状態で、地球を徘徊するスカヴの残党を排除し、重要な資源である海水の採水プラントを管理する任務に就いている。しかし、ある日、ジャックが墜落した宇宙船を発見し、そこから助け出した謎の女性ジュリア・ルサコーヴァと出会ったことから、彼は自身の断片的な記憶と世界の現状に疑問を抱き始める。この出会いが、彼に隠されていた真実を知るきっかけとなる。

あらすじ

任務遂行の日々を送っていたジャックは、地上パトロール中に墜落した旧式の宇宙船「オデッセイ号」を発見する。船内にはコールドスリープ装置で眠る乗組員たちがいたが、突如現れたドローンによって殺害されてしまう。しかし、ジャックはただ一人、ジュリアという女性をドローンから守り、タワー49へ連れ帰る。目覚めたジュリアはなぜかジャックの名を知っており、彼の記憶にも彼女の面影が浮かぶ。やがて二人はスカヴに捕らえられ、彼らのリーダーであるマルコム・ビーチと出会う。マルコムは、スカヴはエイリアンではなく、地球に残った人類の生存者であること、そして人類をタイタンへ移住させているとされる「テット」こそが真の敵であるという衝撃的な真実を告げる。

マルコムに導かれ「汚染地区」へ向かったジャックは、そこで自分と全く同じ姿のもう一人のジャック（Tech 52）に遭遇し、自身がテットによって作られたクローンであるという衝撃の事実を知る。彼はまた、ヴィクトリアも自身と同様にクローンであり、テットの指示に従って人類を滅ぼす任務を与えられていたことを理解する。ジャックはジュリアと共に、かつて彼（オリジナル）とジュリアが共に暮らそうと夢見た湖畔の家にたどり着き、深い絆を再確認する。

真実を知ったジャックは、マルコム率いる人類抵抗軍と協力し、テットを破壊する計画を立てる。ドローンに核爆弾を搭載しテットへ送り込むことを目指すが、テットの反撃により計画は頓挫。ジャックとジュリアは、テットが宇宙船の生存者を求めているという情報を逆手に取り、自らテットの中枢へ乗り込むことを決意する。

テット内部へ侵入したジャックは、膨大な数のクローンが眠る中枢部に到達する。そこでテットの中枢体と対面したジャックは、真実を告げてテットの警戒を解き、マルコムと共に持ち込んだ核爆弾を起動させる。テットは爆発・崩壊し、地上のドローンも活動を停止。地球に平和が訪れる。

エピローグでは、3年後、湖畔の家で娘と暮らすジュリアのもとに、生き残った人類と共にTech 52のジャックが現れる。彼はオリジナルとは異なるクローンだが、彼の中に宿る「ジャック・ハーパー」としての本質が、彼を愛するジュリアのもとへ導いたのだった。

主な登場人物

ジャック・ハーパー (Tech 49 / Tech 52)：トム・クルーズ演じる主人公。荒廃した地球で任務に就く技術者だが、その正体はテットによって作られたクローンの一体。好奇心が強く、失われた過去や世界の真実に疑問を抱く。Tech 49とTech 52の二体のクローンが登場する。
マルコム・ビーチ：モーガン・フリーマン演じる、地球に残った人類の生存者コミュニティ「スカヴ」のリーダー。テットの内情を知っており、ジャックに真実を伝える。
ジュリア・ルサコーヴァ：オルガ・キュリレンコ演じる、墜落したオデッセイ号の乗組員。オリジナルであるジャックの妻であり、物語の鍵を握る女性。
ヴィクトリア・オルセン：アンドレア・ライズボロー演じる、ジャックの通信パートナーであり同居人。ジャックと同様にクローンで、テットに忠実。
テット / “サリー”：メリッサ・レオ演じる、地球の資源を奪い人類絶滅を図る異星の人工知能。ジャックとヴィクトリアには、モニター越しの「サリー」として指示を出す。

設定・用語

スカヴ（スカヴェンジャー）：テットがジャックらに「異星人の残党」と偽って教えていた存在。実際はテットの侵略から生き残った地球人類の生存者たち。
テット：地球の周囲を周回する巨大な四面体の宇宙構造物。地球の資源（主に海水中の重水素）を採集し、人類を排除するために活動する異星のAI。
タワー：地球の地上1,000メートルに建設された観測・指令拠点。ジャックとヴィクトリアが任務を行う拠点（タワー49など）。
ドローン：テットの尖兵である無人攻撃機。地球人類を排除し、テットの施設を守る。
湖畔の家：ジャックが密かに地上で集めた物資で作り上げた隠れ家。オリジナルのジャックとジュリアの思い出の場所であり、クローンであるジャックが人間性を取り戻す象徴となる。
汚染地区：テットが立ち入り禁止区域としていた場所だが、実際は放射能汚染はしておらず、人類抵抗軍の活動拠点の一つとなっていた区域。
月：スカヴ（テット）の侵略によって破壊されたとされていたが、実際はテットによって破壊された。地球の地殻変動の原因となる。

製作

本作はコシンスキー監督がグラフィックノベルを映画化したいという構想から始まった。当初ディズニーが権利を取得するが、PG指定を望むスタジオ側の意向と合わず売却。その後ユニバーサル・ピクチャーズが権利を獲得し、PG-13での製作が進められた。脚本は複数人の手により改稿が行われ、最終的にマイケル・アーントが完成させた。主演のトム・クルーズは比較的早期に決定したが、主要な女性キャストの選考には複数の候補者が検討された。撮影は2012年にルイジアナ州を中心に敢行された。

評価

公開時の批評家の反応は賛否が分かれた。Rotten Tomatoesでは2013年4月19日時点で58%の支持率を示している。

（この記述は、公開されている情報を基に構成されています。）

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