オベリスクの門

『オベリスクの門』

『オベリスクの門』（The Obelisk Gate）は、N・K・ジェミシンによる2016年のサイエンス・ファンタジー小説で、彼女の代表作《破壊された地球》三部作の第2作目です。前作『第五の季節』の続編であり、次作は『輝石の空』（The Stone Sky）です。この作品は高い評価を得ており、ヒューゴー賞の長編小説部門を受賞しました。

設定

物語の舞台は、数世代ごとに壊滅的な気候変動が訪れる惑星スティルネスで、主要な大陸である超大陸のみならず、存亡を左右する力を持つ古代のオロジェン（魔術的才能を持つ者）たちが描かれています。物語は、母と娘の主な視点から語られ、彼女たちの再会と、なぜ第五の季節が起こるのかという真実を解明するための旅路に焦点を当てています。

あらすじ

物語は、エッスンとその幼い娘ナッスンの視点で進行します。エッスンは強力なオロジェンで、故郷を追われた彼女は必死に娘を守りつつ南下します。ナッスンの父親は、彼女の弟をオロジェンだと見抜き、盲目的な怒りから弟を殺してしまいます。この事件は、ナッスンと父親との関係に深い影を落とし、逃避行の劇として物語の核心を形成します。

一方、エッスンは地下のコムであるカストリマに残り、彼女自身もオロジェンであるため、何とかその力を生かしながら生き延びています。彼女は自身の力をコントロールしながら、かつての恋人アラバスターと再会し、お互いの知識や経験を共有します。アラバスターとの関係は、戦いと別れを経て模索されるジェミシンの独特な家庭の形を反映しています。

物語が進むにつれ、ナッスンは自らのオロジェニーを磨く技術を学び、自己の力の本質を理解し始めます。彼女は、他者を傷つけることなく力を使うための苦闘と葛藤を抱えながら成長していきます。しかし、ナッスンの能力が増すにつれて、彼女の過去に隠された真実も明らかになります。

評価と受賞歴

『オベリスクの門』は発売前から多数の期待が寄せられており、好評を博しました。アマル・エル＝モフタールは、作品に対する熱意を込めて「この本を置くことができなかった」と語り、WIREDは本作を前作を上回ると評価しました。また、ヒューゴー賞の受賞は、作家としての彼女の地位を決定づけ、2017年のヒューゴー賞の中でも女性が多数受賞した背景とも関係しています。これにより、ジェミシンは連続して二年にわたって長編小説部門の受賞を果たした初の作家となりました。

『オベリスクの門』は、魅力的なキャラクターとダイナミックな物語展開を通じ、読者に深い感動と考察を提供しています。母と娘の絆、オロジェンとして生きる困難と、その力の使い方に焦点を当てることで、人間の本質や力の意味について再考する機会を与えています。

もう一度検索