オペル・コモドーレ

オペル・コモドーレ：ドイツが生んだ中型車の栄光と終焉

オペル・コモドーレは、1967年から1982年までドイツの自動車メーカー、オペルによって生産された中型乗用車です。オペルの主力車種であったレコルトの6気筒版として誕生し、その存在感は、当時輸入代理店だった東邦モーターズを通じて日本にも輸入されたほどでした。日本市場では「オペル・カマドール」の名称で知られており、1970年代前半まで販売されていました。しかし、コモドーレの真価は、オーストラリアでホールデン・コモドアとして生産された際に発揮されます。ホールデンにおける主力車種へと成長し、世界的な成功を収めたのです。

コモドーレA（1967年-1971年）：スポーティな走りへの挑戦

コモドーレAは、レコルトCの6気筒モデルとして1967年にデビューしました。当初は2.2Lと2.5Lエンジンの2種類がラインナップされ、後にツインキャブレター搭載の2.5Lエンジンを搭載した「GS」モデルが追加されました。「GS」はスポーティな走りを追求したモデルであり、コモドーレの販売戦略に大きな変化をもたらしました。ボディスタイルは4ドアセダンと2ドアクーペの2種類が設定されました。

1969年モデルでは、2.2Lエンジンが廃止され、2.5Lエンジンは改良によって出力向上、オートマチックトランスミッションは3速化されました。さらに、ガソリンタンク容量が拡大され、サイドブレーキの位置も変更されるなど、高速走行への対応が強化されました。1970年には燃料噴射システムを搭載した高性能モデル「GS/E」が登場し、最高速度197km/hを記録。WRCグループ2やツーリングカーレースにも参戦し、オペルのモータースポーツ部門であるシュタインメッツの手腕によって活躍しました。2.8Lエンジン搭載モデル「GS 2800」も追加されました。コモドーレAの総生産台数は156,330台にのぼり、そのうちGSモデルは2,574台でした。

コモドーレB（1972年-1977年）：洗練された中型車の進化

レコルトがCからDへモデルチェンジしたことに伴い、コモドーレもフルモデルチェンジを実施。コモドーレBとなりました。2.5Lと2.8Lエンジンを搭載した様々なモデルがラインナップされ、出力は115馬力から160馬力に及びました。1974年には、排気ガス規制強化への対応として2.5Lモデルが廃止され、2.8Lモデルのみとなりました。

コモドーレC（1977年-1982年）：高級路線への転換とグローバル展開

レコルトEのモデルチェンジと同時に登場したコモドーレCは、レコルトと同様にクーペモデルが廃止され、4ドアセダンと5ドアワゴンボディのみとなりました。スポーティなイメージから、レコルトの上位モデルとしての高級志向へと方向転換されました。エンジンの排気量も2.5Lに縮小され、レコルトとセネターの間に位置する、やや地味な存在となりました。しかし、オーストラリアのホールデンや南アフリカのシボレーでは主力車種として成功を収め、韓国ではデーウ・ロイヤルとして生産、英国ではボクスホール・ヴェントーラと統合されヴァイスロイとして販売されるなど、グローバルに展開されました。ドイツにおけるコモドーレの生産は1982年に終了しましたが、その歴史と影響は世界中に残されています。

まとめ：時代と共に変化したコモドーレ

オペル・コモドーレは、その誕生から生産終了まで、時代や市場のニーズに合わせて進化を遂げました。スポーティなモデルから、高級志向のモデルへと変貌を遂げたコモドーレの道のりは、自動車業界における時代の流れや、グローバル展開の重要性を示す好例と言えるでしょう。日本での知名度は低いものの、世界的には重要な存在感を示したモデルであったことは間違いありません。その歴史と変遷を紐解くことで、自動車史の一端を垣間見ることができるでしょう。

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