オメガ粒子
オメガ粒子とは
オメガ粒子（Ω粒子）は、素粒子物理学におけるバリオンに分類されるハドロンの一種です。これは、3つのクォークが結合して構成される複合粒子であり、オメガ中間子（ω中間子）とは区別されます。
概要
最初に発見されたオメガ粒子は、3つのストレンジクォークから成るΩ⁻でした。1964年に発見されたこの粒子は、その存在、質量、そして崩壊生成物が予測されていたため、発見はクォークモデルの研究を大きく前進させることとなりました。Ω⁻に加えて、ストレンジクォークの1つがチャームクォークに置き換わったΩcも発見されています。
Ω⁻は比較的長い半減期を持ち、弱い相互作用によって崩壊します。未発見のバリオンのスピン（J）とパリティ（P）は、クォークモデルによって予測されています。
オメガ粒子はアップクォークもダウンクォークも含まないため、アイソスピンは0です。
リスト
以下は、オメガ粒子のリストです。
| 粒子 | クォーク構成 | 電荷 | 質量 (MeV/c²) | S | C | B | 半減期 (s) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| :- | :--- | :- | :-- | :- | :- | :- | :----- |
| Ω⁻ | sss | -1 | 1672.45 | -3 | 0 | 0 | (8.21±0.11)×10⁻¹⁰ |
| Ωc⁰ | ssc | 0 | 2697.5 | -2 | 1 | 0 | (6.9±1.2)×10⁻¹³ |
| Ωb⁻ | ssb | -1 | 6071.3 | -2 | 0 | -1 | (1.64±0.29)×10⁻¹² |
| Ωcc⁺ | scc | +1 | 3188.1 | -1 | 2 | 0 | 不明 |
| Ωbbb† | bbb | -1 | 不明 | 0 | 0 | -3 | 不明 |
| Ωbc† | sbc | -1 | 不明 | -1 | 1 | -1 | 不明 |
| Ωbb† | sbb | -1 | 不明 | -1 | 0 | -2 | 不明 |
†印のものは、観測または検出されていません。
近年の発見
Ωbは、2つのストレンジクォークを含む粒子です。この粒子は2008年9月にフェルミ国立加速器研究所のDZero実験で初めて発見されました。しかし、報告された質量6,165±16 MeV/c²は、クォークモデルの予測よりもかなり大きいものでした。標準理論からのこのずれは、その後「Ωbパズル」と呼ばれるようになりました。
2009年5月、CDF（Collider Detector at Fermilab）は、DZeroの約4倍のデータを用いて検証を行いました。その結果、予測と完全に一致する6,054.4±6.8 MeV/c²という値を測定し、以前の実験値のところには何のシグナルもありませんでした。この2つの結果は111±18 MeV/c²、つまり標準偏差で6.2異なっています。CDFの観測値が理論的な予測と完全に一致することは、CDFが発見した粒子が本物のΩbであることを強く示唆しています。
外部リンク
Picture of the first event event containing the Omega-, which happens to be containing the complete decay chain of the Omega-.
Science Daily - Discovery of the Bottom Omega-
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