オヤビッチャ

オヤビッチャ

オヤビッチャ（親美姫、学名：Abudefduf vaigiensis）は、スズキ目スズメダイ科に属する海水魚の一種です。鮮やかな体色と群れをなして泳ぐ姿が特徴で、観賞魚としても人気があります。

分布

オヤビッチャは、インド太平洋域に広く分布しています。具体的には、インド洋から中央太平洋にかけての熱帯・亜熱帯海域に生息しています。日本においては、北海道南部以南の各地で見られます。タイプ産地はインドネシアのワイゲオです。

形態

全長は20cm程度まで成長します。体色は灰色を基調とし、背中は黄色みを帯びています。体側には5本の黒い横帯が入り、これがオヤビッチャの大きな特徴となっています。求愛期には体色が青くなることもあります。また、体の後半分が黒い変異個体も存在します。

背鰭は13棘12～14軟条で構成されています。側線上方横列鱗数は通常5枚です。尾柄部には点はありません。

近縁種

オヤビッチャには、いくつかの近縁種が存在します。

シリテンスズメダイ (Abudefduf caudobimaculatus)
かつてはオヤビッチャの同物異名とされていましたが、2017年に再分類されました。尾柄部に二つの点があること、第4黒色横帯の位置、背鰭軟条数、側線上方横列鱗数などがオヤビッチャとの区別点です。西太平洋に広く分布すると考えられています。
*アミメオヤビッチャ (Abudefduf nigrimargo)
2018年に台湾から新種記載された種です。体側の横帯模様が特徴的で、第2・第3横帯の上端が背鰭基部に達しないこと、第4暗色横帯の位置などがオヤビッチャとの識別点となります。日本からも報告されています。

海外には、大西洋産のAbudefduf saxatilisや東太平洋沿岸産のAbudefduf troscheliiなど、オヤビッチャに似たスズメダイ科魚類が生息しています。

生態

水深15m以浅のサンゴ礁域に生息し、群れを作って生活します。幼魚は流れ藻についたり、タイドプールで見られたりします。成魚は大きな群れで見かけることが多いです。繁殖期には、雄が紫色をした卵の世話をする姿が観察されます。

利用

オヤビッチャは食用魚として利用され、煮付け、塩焼き、唐揚げなどで食べられます。味は良いとされています。また、鮮やかな体色から観賞魚としても人気があります。ただし、性質はやや荒いため、混泳には注意が必要です。

名称の由来

オヤビッチャの語源には諸説あります。

東北地方で赤ん坊を意味する「ビッチャ」に由来し、親になっても小さい魚を指すという説
沖縄方言で綾が走るという意味の「アヤビッチ」に由来するという説

地方名

オヤビッチャには、地域によって様々な地方名があります。

アブラウオ (高知県須崎)
アヤビキ (奄美・古仁屋)
シマヤハギ (田辺)
セセラ (和歌山県和深)
タネラー (沖縄)
ビングシ (柏島)
マツウオ (和歌山県和深)

脚注

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関連項目

魚の一覧
熱帯魚
ロクセンスズメダイ

参考文献

木村義志監修・執筆 『フィールドベスト図鑑 7　日本の海水魚』 GAKKEN フィールドベスト図鑑 1998年8月4日 初版発行 174頁 ISBN 4054011217
岡村収 尼岡邦夫 編集・監修　大方洋二 小林安雅 矢野維幾 岡田孝夫 田口哲 吉野雄輔 著　『日本の海水魚』 山と渓谷社 山渓カラー名鑑 1997年7月1日初版発行 ISBN 9784635090278

外部リンク

WEB魚図鑑
市場魚介類図鑑
Bray, D.J. “Abudefduf vaigiensis”. Fihses of Australia. 2020年12月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月24日閲覧。

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