オリアナ (初代)

オリアナ（SS Oriana）： ocean linerからFloating museumまで

オリアナは、イギリスのP&O社が1960年に就航させた由緒ある客船です。イギリスとオーストラリアを結ぶ定期航路や、オーストラリア周辺のクルーズに利用されました。引退後は、大分県別府市に係留され、フローティング・ミュージアムとして第二の人生を歩みました。

オーシャン・ライナーとしての活躍

オリアナは、P&O社最後のオーシャン・ライナーとして、その名を歴史に刻んでいます。イギリス・ランカシャーのヴィッカー・アームストロング社で建造され、1959年11月3日に進水。船名の「オリアナ」は、イギリス女王エリザベス1世の雅名に由来します。

1960年12月、サウサンプトンからシドニーへの処女航海に出発。当時、イギリスとオーストラリア、ニュージーランドを結ぶ航路において、最大かつ最速の客船として名を馳せました。その大きさは、1961年に就航したキャンベラに譲りましたが、速力においては、1986年の引退までP&O船団の中で最速を誇りました。

日本へは1963年4月に初寄港。1964年の東京オリンピックの際には、横浜港に停泊し、海上ホテルとして利用され、その優雅な姿で人々を魅了しました。

クルーズ船への転身と日本での第二の人生

1973年以降、オリアナはクルーズ船として新たな道を歩み始めます。1981年から引退する1986年3月まで、シドニーを拠点にクルーズ船として活躍しました。

引退から間もない1986年5月、大和ハウス工業の子会社であるロイヤル海洋観光がオリアナを購入。大阪で改装を受け、フローティング・ホテルとしての営業も検討されましたが、改装費の問題や地元の反対などがあり、マリーン・ミュージアムとして生まれ変わることになりました。1987年8月1日、別府港に「マリーン・ミュージアム SSオリアナ」としてオープンし、別府の新たなシンボルとして親しまれました。

しかし、高めの入場料設定が災いし、初年度の入場者は目標に届かず、その後も入場者数は低迷。1994年10月、ロイヤル海洋観光は1995年3月での営業終了を発表しました。営業終了にあたり、船体を大分県、別府市に寄贈する意向を示しましたが、活用計画がまとまらず、実現には至りませんでした。

中国での晩年と解体

その後、オリアナは中国の湖北省秦皇島港港務局に売却され、1995年7月17日、「さようなら　ありがとう」の垂れ幕を掲げ、別府湾を後にしました。中国では、秦皇島でレストラン船「奥麗安婦」として営業を開始。1999年には上海で改装を受け、「オリアナ号豪華客船博物館」として再オープンしました。2002年からは大連の星海湾公園でテーマパーク「大連オリアナ海上主題公園」として営業を行いましたが、2004年6月16日、台風による暴風雨で船体が傾き、浸水。修復不可能と判断され、2005年に解体されました。

オリアナの輝かしい名は、1995年に就航したP&O社のクルーズ客船「オリアナ」に受け継がれ、今もその記憶を伝えています。

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