オリエンタル中村百貨店

オリエンタル中村百貨店の歴史

オリエンタル中村百貨店は、日本の愛知県名古屋市中区栄にかつて存在した百貨店であり、1954年から1980年まで営業を行っていました。運営会社は後に名古屋三越に改称され、2003年まで法人として存続しました。本店は名古屋市内の賑やかな立地に位置し、特に「天に星 地に花 人に愛」というキャッチフレーズで親しまれました。

中村家の起源

中村百貨店の前身は中村呉服店であり、その創業は1869年に遡ります。初代中村嘉兵衛が名古屋城下に呉服店を開業したことから始まりました。次代の中村鍵太郎は、原産地から直接商品を仕入れることで業態を進化させ、商品を展示するだけのお客様も大事にする姿勢を示しました。このようにして育まれた呉服店の歴史は、後の百貨店業態に繋がっていきます。

オリエンタル中村百貨店の設立

1954年2月、株式会社オリエンタル中村百貨店として設立され、同年5月には名古屋市中区栄にて新たに百貨店業を開始しました。店舗は初めての百貨店法が施行された年に増築されたり、規模を拡大していきました。さらには、老舗百貨店と肩を並べる形で名古屋の4大百貨店に数えられるようになりました。

文化と商品ラインナップ

同店は、実用的な呉服や洋品、婦人服、さらには婚礼衣裳や高級呉服など多岐にわたる商品を取り扱っていました。また、1971年には岡本太郎が手掛けた巨大なレリーフ「花・星・人」が外壁に設置され、名古屋のシンボルの一つとなっていました。

事業の変遷

1977年には三越がオリエンタル中村百貨店の持ち株を買収し、事業運営の傘下に入りました。その後、1980年には社名を名古屋三越百貨店に変更し、新たなスタートを切ることになります。この頃には他の名古屋の百貨店とともに「4M」と呼ばれる親しみやすい愛称で知られるようになっていました。

名古屋三越の時代

名古屋三越の名称で運営されるようになった後も、地域密着型のショップとして親しまれ続けました。新潟や金沢にも店舗を展開しましたが、2003年には名古屋三越の法人格が消滅し、三越伊勢丹ホールディングス傘下での運営に移行しました。

カンガルー像と象徴

オリエンタル中村百貨店の正面玄関前にはカンガルーの像が据えられ、栄の待ち合わせスポットとしても有名でした。この像は後にライオン像に置き換えられましたが、カンガルー像は保存のために屋上に移設されています。これは名古屋の文化の一部として今も残り、店の歴史を象徴する存在となっています。

屋上観覧車の思い出

さらに、1954年には日本初の屋上観覧車が設置され、訪れる人々を楽しませました。複数回の改修の後、常に多くの人々に親しまれ、2007年には国の登録有形文化財にも認定されました。オリエンタル中村百貨店の記憶は、名古屋の街の風景の中に色濃く残っています。

結論

オリエンタル中村百貨店の歴史を振り返ると、単なるショッピングの場であるだけでなく、名古屋の文化や人々の生活に深く根付いた存在であったことが分かります。その歴史はやがて名古屋三越へと受け継がれ、時代を超えて地域に愛され続けているのです。

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