オリエンテーリング

オリエンテーリング: 地図とコンパスを駆使する野外スポーツ

オリエンテーリング（英：orienteering）は、山野に設置された複数のコントロールポイントを、地図とコンパスを使用しながら指定された順序で通過し、時間を競う野外スポーツです。この競技は、19世紀中頃にスウェーデン軍によって訓練の一環として始まったとされ、日本では「OL」の略称で親しまれています。この「OL」は、ドイツ語の「Orientierungslauf（方向を定めて走る）」に由来しています。

オリエンテーリングは単なる遊びではなく、本格的なスポーツです。特に「走る競技」として捉えられるべきであり、その競技性はクロスカントリー競走にも似た特徴を持っていますが、走るコースは競技者自身が選択する必要がある点が異なります。1990年代以降には、スキー・オリエンテーリングや自転車競技を取り入れたサイクル・オリエンテーリングなど、バラエティの異なる形式も広まりを見せ、これらを区別するために従来のフット・オリエンテーリング（Foot Orienteering）と呼ばれることもあります。

歴史

オリエンテーリングのルーツは、19世紀後半のスカンジナビアの軍事訓練にあると言われています。最初の競技会は1897年にノルウェーのオスロ近郊で開催され、この大会では19.5kmの長距離を3つのコントロールポイントを通過しながら走るものでした。1918年にはスウェーデンで大規模な大会が開催され、ルールや形式が整備されていきました。1930年代には方位磁針の進化も相まって、オリエンテーリングの普及が進み、多くの国々で参加者が増えていきました。

戦後、多くの国でオリエンテーリングが行われるようになったことで、1949年には国際的な会議が実施され、規則の策定や地図作成方式の標準化が進められました。また、1961年には国際オリエンテーリング連盟（IOF）が設立され、現在では73ヶ国が加盟しています。

現代のオリエンテーリング

現在のオリエンテーリングは、多様な競技形式を持ち、スプリントからロング、リレーまで各種があります。競技者は自身の持っているフィジカル面だけでなく、ナビゲーション力や適応力も求められます。競技者に与えられるマップは、事前に下見ができず、競技者は初めての地形を地図をもとに判断しなければなりません。このため、オリエンテーリングには効果的な戦略を立てる能力も必要です。

競技の種類

オリエンテーリングの競技は以下のように分かれています：

• - ポイント・オリエンテーリング：決められたコントロールを通る基本の形式
• - スプリント競技：短時間での競技
• - ミドルおよびロングディスタンス競技：より長い時間をかけて行う
• - リレー・オリエンテーリング：チームでのリレー方式
• - サイクル・オリエンテーリング：自転車を使った形式
• - トレイル・オリエンテーリング：特に障害を持った参加者向けの形式

オリエンテーリングとオリンピックの関係

1996年にはオリンピック競技にオリエンテーリングを加えようとする試みが始まりましたが、競技の特性から、視覚的に観戦しにくい点、競技の開催場所が都市中心部から離れることが多い点、競技時間が長い点などの課題があり、正式なオリンピック競技への採用には苦闘が続いています。しかし、スキー・オリエンテーリングは特にオリンピックに向けた形態として期待されています。

日本におけるオリエンテーリング

日本では、日本オリエンテーリング協会が全国規模の組織として存在し、競技者の数は数千人に及びます。日本に紹介されたのは1970年代で、レクリエーション活動として促進された経緯がありますが、本来のスポーツとしての理解が浸透するには多くの教育と普及活動が必要です。地域社会との関係性も重要であり、オリエンティアのモラルやマナーの向上が求められています。特に愛知県で開催された世界選手権（WOC2005）は、日本におけるオリエンテーリングの地位向上に寄与しました。

オリエンテーリングは独自の魅力を持つスポーツであり、参加者は自然の中での冒険を楽しみ、また精神的な刺激を得られる貴重なフレームです。

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