オリエント急行殺人事件 (1974年の映画)

映画『オリエント急行殺人事件』（1974年）詳細解説

『オリエント急行殺人事件』は、アガサ・クリスティの1934年発表の傑作ミステリー小説を、シドニー・ルメット監督が映画化した作品です。1974年に公開され、豪華キャストと緻密なストーリーで世界中を魅了しました。

ストーリー

名探偵エルキュール・ポアロは、イスタンブールで事件を解決後、急ぎロンドンへ向かうためオリエント急行に乗車します。満席の一等寝台車に、重役ビアンキの計らいでなんとか乗り込むポアロ。しかし、その夜、列車は雪で立ち往生し、翌朝、乗客の一人である富豪ラチェットが殺害されているのが発見されます。

ポアロは、ビアンキや医師コンスタンティン、車掌ミシェルと共に捜査を開始します。検死の結果、ラチェットは12回も刺されており、そのうち3回は致命傷でした。手がかりは、止まった時計。ポアロは、ラチェットが深夜1時半頃に殺害されたと推理します。列車が停車するよりも前の時間であり、一等車から犯人が逃げた形跡がないことから、犯人は一等車の乗客の中にいる可能性が高いと判断します。

ポアロは乗客たちの尋問を開始し、ラチェットの隠された過去を暴き出します。実はラチェットは、かつてデイジー・アームストロング誘拐事件に関与したカッセッティという男だったのです。事件によってアームストロング一家は悲劇に見舞われ、一家に関わった人々も不幸な人生を送っていました。

乗客たちはそれぞれアリバイを持っていましたが、ポアロは灰色の脳細胞を働かせ、驚くべき真相にたどり着きます。それは、正義と復讐が複雑に絡み合った、衝撃的な結末でした。

登場人物

エルキュール・ポアロ： アルバート・フィニー演じる、ベルギー出身の名探偵。鋭い観察力と推理力で事件の真相に迫ります。
ラチェット： リチャード・ウィドマーク演じる、殺害された富豪。その裏の顔は、過去の悲劇に関わる男でした。
ヘクター・マックイーン： アンソニー・パーキンス演じる、ラチェットの秘書。
アーバスノット大佐： ショーン・コネリー演じる、イギリス軍大佐。
メアリー・デベナム： ヴァネッサ・レッドグレイヴ演じる、教師。
ナタリア・ドラゴミロフ公爵夫人： ウェンディ・ヒラー演じる、ロシア人貴婦人。
グレタ・オルソン： イングリッド・バーグマン演じる、宣教師。バーグマンは本作でアカデミー助演女優賞を受賞しました。

その他、個性豊かな乗客たちが、物語を彩ります。

作品の魅力

豪華キャスト： アルバート・フィニー、イングリッド・バーグマン、ショーン・コネリーなど、名優たちの演技が光ります。
緻密なストーリー： アガサ・クリスティならではの、巧妙なトリックと意外な展開が楽しめます。
美しい映像： オリエント急行の豪華な内装や、雪に閉ざされたバルカン半島の風景が、物語を盛り上げます。
音楽： 哀愁漂う音楽が、ミステリーの世界観をより一層引き立てます。

受賞歴

アカデミー助演女優賞（イングリッド・バーグマン）
英国アカデミー賞 助演男優賞（ジョン・ギールグッド）
英国アカデミー賞 助演女優賞（イングリッド・バーグマン）

原作との相違点

映画では、登場人物の名前や設定が原作と若干異なっています。また、事件解決後の演出も映画ならではのものです。

まとめ

『オリエント急行殺人事件』は、ミステリーとしての面白さはもちろん、人間の心の奥底にある感情を描いた作品でもあります。豪華キャストによる演技、美しい映像、そして心を揺さぶる音楽が、観る者を物語の世界へと引き込みます。ぜひ、この傑作ミステリーを堪能してください。

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