オリオル・カレッジ (オックスフォード大学)

オリオル・カレッジ：オックスフォードの伝統と現代の葛藤

オリオル・カレッジは、イングランド、オックスフォード大学を構成する歴史あるカレッジの一つです。その美しい建物と由緒ある歴史は多くの観光客を惹きつけますが、近年は、カレッジ正面玄関に飾られたセシル・ローズ像をめぐる議論が注目を集めています。

セシル・ローズ像：賛否両論の焦点

ハイストリートに面したカレッジの正面玄関上部には、セシル・ローズの像が設置されています。その下にはエドワード7世とジョージ5世の像も並んでおり、1911年の建設を記念する碑文が刻まれています。しかし、このローズ像は、2015年の「ローズ・マスト・フォール」運動を皮切りに、その植民地主義者としての歴史的背景から撤去を求める抗議運動の的となっています。2020年には、ジョージ・フロイドの死をきっかけとした抗議活動の高まりの中で、像の撤去を求める声が再び高まりました。

著名な卒業生とフェロー

オリオル・カレッジは、多様な分野で活躍する著名な卒業生を輩出しています。16世紀には、大航海時代の探検家サー・ウォルター・ローリーが学生として学びました。また、大学院レベルでは、オックスフォード運動の主要な創始者であるジョン・キーブル、エドワード・ブーヴェリー・プュージー、ジョン・ヘンリー・ニューマンといった歴史的な人物がフェローとして在籍していました。さらに、聖職者、司教、枢機卿、知事など、様々な分野で活躍した卒業生に加え、ノーベル化学賞受賞者アレクサンダー・トッド、ノーベル経済学賞受賞者ジェイムズ・ミードといった、世界的に有名な学者も輩出しています。現在も、現代史学のリンダル・ローパー教授が教授フェローシップに在籍しています。

貴重な中世の所有物

カレッジは、歴史的価値の高い貴重な品々を所有しています。中でも注目すべきは、中世の金メッキのビーカーと蓋です。フランス製と推定され、当初は1460年から1470年代のものと考えられていましたが、後年の調査で1350年頃のもので、後に装飾が施されたものであることが分かりました。1493年には、誤ってエドワード2世のものと信じられて購入されたという興味深い歴史も持っています。

オリオル・カレッジの未来

歴史と伝統に彩られたオリオル・カレッジは、現代社会における複雑な議論の渦中にあります。セシル・ローズ像の存続をめぐる議論は、植民地主義の歴史と現代社会の倫理観との間にある葛藤を象徴するものです。このカレッジの未来は、こうした議論と向き合い、歴史と現代社会のバランスを取りながら歩みを進めていくことが求められています。その歴史的意義と現代社会の課題を理解することで、オリオル・カレッジの真の姿が見えてくるでしょう。

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