オリオン座GW星

オリオン座GW星について

オリオン座GW星（GW Orionis）は、太陽系から約1,310光年の距離に位置する三重連星系で、オリオン座の方向にあります。
この星系は前主系列段階にあり、特に注目すべき点は、星たちを取り囲む巨大な原始惑星系円盤の存在です。

星系の構造

オリオン座GW星は、3つの星から構成されています。A星とB星は、約1天文単位（au）の距離で互いに周回し、C星はそれらの周囲を約8au離れた軌道で公転しています。この星系は、誕生してからの時間が約100万年しか経っておらず、非常に若い星とされています。
すべての星は水素核融合ではなく、ケルビン・ヘルムホルツ機構によって光を放っています。
主星のAは、その質量やスペクトルからB型主系列星の前駆体と考えられていますが、まだハービッグBe型星に進化する前の段階です。

原始惑星系円盤の特異性

オリオン座GW星の周囲には、異常な構造の巨大な原始惑星系円盤が存在しています。観測によれば、塵の円盤は約400au、ガスは1300auまで広がっているとされています。
2020年9月、カナダのビクトリア大学の研究チームは、アルマ望遠鏡を使った観測により、原始惑星系円盤内に3つの塵のリングが存在することを明らかにしました。これらのリングは、内側から46au、188au、338auの半径にわたっており、特に外側のリングは既知の中で最大の半径を持っています。
また、驚くべきことに、これらの3つのリングはすべて、三重連星の軌道面に対して大きく傾いています。その結果、リングの構造が示す星形成プロセスのメカニズムについての理解が深まってきました。

様々な研究成果と見解

同じ月に、イギリスのエクセター大学の研究チームも、アルマ望遠鏡とVLT（超大型望遠鏡）を用いた観測を行い、内側のリングが外側の領域に影を投影していることを明らかにしました。この研究によれば、内側のリングは連星の軌道面や外側のリングに対して傾いています。

原始惑星系円盤に惑星が存在しているのかどうかについては、研究者間で意見が分かれています。
ビーのチームは、三重連星の影響だけではこの特異な構造が形成されないと考え、惑星の存在を肯定的に捉えています。
一方で、クラウスのチームは、シミュレーション結果から惑星の存在が必ずしも必要ではないと主張しています。このような視点の相違は、オリオン座GW星の周囲における星形成のメカニズム理解が今後の研究において重要であることを示唆しています。

結論

オリオン座GW星は、星間物質と星形成過程が織り成す興味深い舞台を提供しており、宇宙における星の進化についての重要な手がかりを私たちに与えてくれます。今後の観測により、この三重連星系の詳細な理解が進むことが期待されます。

もう一度検索