オリジナル・サウンドトラック 影の軍団

オリジナル・サウンドトラック「影の軍団」

時代劇ファンに長く愛される関西テレビ・フジテレビ系『影の軍団シリーズ』。その世界観を音楽面から支えた劇伴や主題歌の数々を集めたサウンドトラックアルバムが、『オリジナル・サウンドトラック「影の軍団」』です。このアルバムは時代を経て二つの異なるバージョンが世に送り出されています。

1986年版

最初に発表されたのは1986年。キングレコードからLP盤（規格品番K23G-7296）およびカセットテープ（規格品番K23H-4348）として、「オリジナル・サウンドトラック 影の軍団」のタイトルで発売されました。このバージョンは、シリーズで使用された楽曲の中から選りすぐりのBGMを中心に構成されています。特筆すべきは、収録された楽曲のほとんどがインストゥルメンタルであった点です。シリーズを彩る様々なシーン、例えば緊迫した激闘や登場人物たちの内面に寄り添うメロディー、予告編やアイキャッチで流れる印象的なフレーズなどが、渡辺茂樹を中心に岡林信康、泉洋次といった作曲家陣の手により収められています。唯一、ボーカル入りのオリジナル音源として収録されたのは、泉洋次が歌う「光と影のバラード」でした。ジャケットデザインも凝っており、LP盤の表には『影の軍団IV』より千葉真一、真田広之、志穂美悦子が登場し、裏面には『影の軍団III』から同じ三人に加え誠吾大志が配されています。さらに初回特典として、『影の軍団II』放送時の千葉真一の忍者姿がデザインされたB2サイズの番宣ポスターが同梱されました。

1998年版

1986年版の発売から12年後の1998年、キングレコードは装いも新たに2枚組CDとしてこのサウンドトラックを再リリースしました（規格品番KICA-3017/8）。タイトルも『影の軍団 音楽編』と改められ、最大の特徴は前版から収録曲が大幅に増加したことです。特に、1986年版ではインストゥルメンタルのみの収録だった『Gの祈り』、『誓い』、『砂漠の都会に』といったシリーズを代表する主題歌が、岡林信康、真田広之、そして千葉真一によるオリジナル歌唱バージョンで収録された点が多くのファンを喜ばせました。また、豪華なライナーノーツが付属したことも大きな魅力です。このライナーノーツには、本CDのために行われた千葉真一の特別インタビュー（主に本編に関する内容）、シリーズ各作品の詳細な解説、メインスタッフ＆キャストリスト、放映リストなどが網羅され、さらにオリジナル音源版の主題歌の歌詞も掲載されています。ジャケットデザインは、1986年版LPの表紙と同じく、『影の軍団IV』の千葉真一がフィーチャーされています。こちらも初回限定特典として、1986年版と同様の千葉真一忍者装束ポスター（B2サイズ）が用意されました。

この1998年版CDは、渡辺茂樹による多くの劇伴に加え、岡林信康、泉洋次、古本鉄也、吉田拓郎、青木望といった作曲家たちの手によるインストゥルメンタル楽曲や、各主題歌の歌唱バージョンをDISC 1とDISC 2に分けて収録しており、シリーズ全体を音楽で振り返ることができる集大成的な内容となっています。CD制作には林直宏、早川優らが企画・構成として関わり、マスタリングは安藤明、デザインは橘田貴文、スチール撮影は伊藤敦友が担当。東映、関西テレビ放送をはじめ、各音楽出版やレコード会社が協力して実現した作品です。

『影の軍団』シリーズの魅力的な音楽世界を堪能できるこれらのアルバムは、時代劇音楽史においても重要な位置を占める作品と言えるでしょう。

もう一度検索