Gの祈り

Gの祈り

『Gの祈り』は、日本のシンガーソングライター岡林信康が1980年4月21日にビクターレコードからリリースしたシングル盤です。このシングルには、表題曲である「Gの祈り」と、カップリング曲「君に捧げるラブ・ソング」が収められています。両楽曲とも、作詞・作曲は岡林信康自身が手掛け、編曲は渡辺茂樹が担当しました。

収録楽曲詳細

Gの祈り

本楽曲は、1980年に放送された千葉真一主演の時代劇『服部半蔵 影の軍団』のエンディングテーマとして広く知られています。劇中では、インストゥルメンタル版や、歌唱の際に一部歌詞が異なるバージョンも使用されていました。具体的には、劇中で歌われた歌詞の一部に「捨てられた熱すぎる命」というフレーズが登場するのに対し、シングル盤に収録されたバージョンでは「燃え尽きた熱すぎる命」と歌われています。ただし、劇中の挿入歌として、レコードに収録された音源がそのまま流される回もありました（例えば第11回放送など）。楽曲全体の長さは4分43秒です。

君に捧げるラブ・ソング

カップリング曲の「君に捧げるラブ・ソング」は、岡林信康の活動を長年にわたり記録し続けた写真家、川仁忍氏（1979年11月26日死去）への追悼の念を込めて創作された楽曲です。この曲もまた、『服部半蔵 影の軍団』の劇中で印象的な場面で使用されました。特に、第20話・第21話で描かれた甲賀の抜け忍・お甲（三林京子）と半蔵の、愛し合いながらも道が分かれる切ない別れのシーンや、最終話のクライマックスを彩る楽曲として用いられています。

この楽曲は、岡林信康にとって個人的にも重要な意味を持つだけでなく、意外な形で大きな反響を呼びました。1979年に出演したテレビ番組「ミュージックフェア」でこの曲を披露した後、岡林氏の親友である黒田征太郎氏宛に、歌手の美空ひばり氏から連絡が入ったのです。ひばり氏は番組を視聴しており、「岡林に長いこと会っていないから、連絡を取ってくれ」と伝えてきたといいます。当時、岡林氏と美空ひばり氏は、岡林氏がひばり氏の母親と意見の対立があったことから、約3年間疎遠になっていました。この「君に捧げるラブ・ソング」が、二人の約3年ぶりの再会のきっかけとなったのです。美空ひばり氏は、病気療養中だった自身の母親の姿と重ね合わせ、「あの歌が、まるで私を励ますために、私自身に向かって歌われているように感じた」と岡林氏に語ったと伝えられています。

その後も、この楽曲は広く知られるようになり、テレビ番組「夜のヒットスタジオ」でも演奏されました。また、2009年に岡林氏が再び「ミュージックフェア」に出演した際にも、この曲が歌われています。さらに、白元の防虫剤「ミセスロイド」のテレビCMにも短期間ですが採用されていました。このCMでは、美しい女性が涙ながらに「どうしても別れるの？」と問いかけ、去ろうとする恋人にすがる切ない情景が描かれており、楽曲の世界観と相まって強い印象を残しました。楽曲全体の長さは5分55秒です。

収録アルバム

このシングルに収められた楽曲は、後年いくつかのアルバムにも収録されています。

街はステキなカーニバル (1979年): 「君に捧げるラブ・ソング」がオリジナル盤に収録されています。再発売された際には、「Gの祈り」がボーナス・トラックとして追加収録されました。
GOOD EVENING 岡林信康LIVE! (1980年): ライブ音源として、「Gの祈り」と「君に捧げるラブ・ソング」が収録されています。
オリジナル・サウンドトラック 影の軍団 (1986年): 劇中で使用された「Gの祈り（インストゥルメンタル）」が収録されています。
影の軍団 音楽編 (1998年): こちらのサウンドトラック盤には、「Gの祈り（インストゥルメンタル）」に加え、シングル版の「Gの祈り」も収録されています。
* 森羅十二象 (2018年): 岡林信康が過去の楽曲を再録音したアルバムで、「君に捧げるラブ・ソング」のセルフカバーバージョンが収められています。

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