オリンピック支援集団

オリンピック支援集団とは

オリンピック支援集団は、過去に日本国内でオリンピックが開催された際、その準備や競技運営を支援するために、陸上自衛隊が中心となって臨時編成された部隊です。これらの部隊は、自衛隊法第100条の3および自衛隊法施行令第126条の12に基づき、関係機関からの依頼を受け、防衛大臣の命令によって自衛隊の任務に支障のない範囲で必要な協力を行うことを目的としていました。

概要

オリンピック支援集団は、主に開催都市を管轄する方面隊の隊員を中心に編成され、会場の設営、各種競技の支援、選手や関係者の輸送など、多岐にわたる業務を担当しました。陸上自衛隊創設以来、集団規模の部隊が編成されたのは、1964年の東京オリンピックと1972年の札幌オリンピックの2度です。その後、1998年の長野オリンピックでは「長野オリンピック協力団」、2021年の東京オリンピックでは「東京2020オリンピック・パラリンピック支援団」として、団規模での編成が行われました。

各大会の支援活動

東京オリンピック支援集団 (1964年)

東京オリンピック支援集団は、正式発足以前は「オリンピック準備室」として陸上幕僚監部内に設置されていました。東部方面総監部が置かれていた市ヶ谷駐屯地に臨時編成され、陸上自衛隊だけでなく、海上[[自衛隊]]、航空自衛隊、防衛大学校生も参加し、総勢約7,600人規模で選手村の運営、選手・役員の輸送、競技支援などにあたりました。自衛隊全体では、延べ約9万9,000人が動員されました。

沿革
1963年4月1日：陸上幕僚監部オリンピック準備室設置
1963年12月10日：東京オリンピック支援集団司令部編成完結
1964年8月15日：選手村支援群、輸送支援群、ライフル射撃支援隊、近代五種支援隊、自転車支援隊編成完結
1964年9月15日：式典支援群、航空・衛生・馬術・陸上競技・カヌー・クレー射撃・漕艇各支援隊編成完結
1964年10月19日：クレー射撃、漕艇支援隊廃止完結
1964年10月26日：式典支援群、航空・衛生・近代五種・自転車・陸上競技・カヌー・ライフル射撃各支援隊廃止完結。第1級賞状受賞
1964年11月5日：選手村支援群、輸送支援群廃止完結
1964年11月20日：東京オリンピック支援集団司令部廃止完結

編成
東京オリンピック支援集団司令部
総務部
企画運用部
競技支援部
選手村支援群
輸送支援群
式典支援群
航空支援隊
衛生支援隊
競技支援群
近代五種支援隊
馬術支援隊
ライフル射撃支援隊
自転車競技支援隊
陸上競技支援隊
カヌー支援隊
クレー射撃支援隊
漕艇支援隊
集団通信隊

札幌オリンピック支援集団 (1972年)

札幌オリンピック支援集団は、真駒内駐屯地に編成され、冬季オリンピック開催に伴い、雪の運搬や会場設営などの準備を2年間かけて行いました。北部方面隊および全国の部隊から人員の支援を受け、自衛隊全体で延べ約21万3,000人が動員されました。

沿革
1970年8月1日：札幌オリンピック支援集団準備本部編成完結
1971年8月3日：札幌オリンピック支援集団司令部編成完結
1972年1月11日：札幌オリンピック支援集団編成完結
1972年2月15日：オリンピック支援の功績により第1級賞状受賞
1972年3月16日：札幌オリンピック支援集団司令部を廃止

編成
支援集団司令部
司令部付隊
航空支援隊
通信支援隊
輸送支援隊
衛生支援隊
式典支援隊
オリンピック村支援隊
距離競技支援隊
ジャンプ競技支援隊
回転競技支援隊
滑降競技支援隊
バイアスロン競技支援隊
ボブスレー競技支援隊
リュージュ競技支援隊
管理隊

長野オリンピック協力団 (1998年)

長野オリンピック協力団は、第12師団を基幹とし、長野市の長野郵便貯金会館に本部を置きました。「スノースクラム'98」と命名され、自衛隊全体で延べ4万5,000人が動員されました。アルペンスキーのコースでの除雪作業、開閉会式でのファンファーレ演奏、国旗・五輪旗の掲揚などを行いました。

沿革
1998年1月20日：長野オリンピック協力団が長野オリンピックスタジアムにおいて編成完結
1998年2月24日：長野オリンピック協力団編成解組

編成
長野オリンピック協力団本部
白馬地区
滑走協力隊
ノルディック協力隊
志賀地区
大回転協力隊
回転・スノーボード協力隊
飯綱地区
ボブスレー・リュージュ協力隊
フリースタイル協力隊
野沢地区
バイアスロン協力隊
長野地区
音楽協力隊
旗衛協力隊
待機部隊
緊急搬雪協力隊
緊急特別協力隊

東京2020オリンピック・パラリンピック支援団 (2021年)

東京2020オリンピック・パラリンピック支援団は、東部方面総監部内に設置され、朝霞駐屯地で編成完結しました。約1か月半にわたり、大会を支援し、編成規模は8,200人と、1964年開催時よりも増強されました。陸上自衛隊だけでなく、海上[[自衛隊]]、航空自衛隊からも人員が派遣され、大会警備、式典での国旗掲揚、医療支援、サイバー防衛、会場上空の防空などの任務にあたりました。

沿革
2021年7月18日：東京2020オリンピック・パラリンピック支援団が朝霞駐屯地において編成完結
2021年9月7日：東京2020オリンピック・パラリンピック支援団本部を解組

編成
東京2020オリンピック・パラリンピック支援団本部
東京2020オリンピック・パラリンピック支援団本部付隊
救急車支援組
自転車競技会場支援群
群本部
東京地区支援隊
神奈川地区支援隊
山梨地区支援隊
静岡東京地区支援隊
第1東京会場整理支援群
群本部
会場整理支援隊
第2東京会場整理支援群
群本部
会場整理支援隊
第3東京会場整理支援群
群本部
会場整理支援隊
埼玉地区会場整理支援隊
神奈川地区会場整理支援隊
式典協力隊
隊本部
開・閉会式協力班
全般支援班
表彰式支援班
競技運営協力隊
隊本部
アーチェリー運営協力班
射撃運営協力班
近代五種運営協力班
* 射撃会場医療支援隊

その他の大会への協力

自衛隊は、オリンピック以外にも、国民体育大会、アジア競技大会、2002 FIFAワールドカップなど、国内外の様々なスポーツ大会で支援を行っています。これらの活動は、自衛隊の持つ能力を社会に還元する重要な活動の一つとなっています。

まとめ

オリンピック支援集団は、日本のスポーツイベントの成功を支えるために、自衛隊が重要な役割を果たしてきたことを示すものです。各大会において、自衛隊はそれぞれの特色を活かした支援活動を展開し、国際的なスポーツイベントの円滑な運営に貢献しています。

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