防空

防空

防空（ぼうくう）とは、航空機やミサイルによる攻撃から国土や艦隊を守るための戦略や手段を指します。この防御策は、航空キャンペーンや防衛作戦の重要な一部と位置付けられています。主な目的は、敵の航空力を無効化することにあります。

国土防空

国土防空には、航空機やミサイルを特定し、追跡し、打撃する4つのステップが存在します。第一次世界大戦中、戦闘機の指揮や管理が試行錯誤された結果、目視や音響による監視情報が電話を通じて指揮所に集められ、作戦が立案される手法が確立されました。この流れが航空警戒管制組織の形成へとつながります。戦間期になると、目標発見の手法として聴音機が使用される一方で、レーダーの研究が進展し、イギリスが第二次世界大戦での活用に取り組んだことが評価されています。

また、冷戦の始まりとともに核兵器の脅威が台頭したことで、高性能レーダーの導入が急がれ、自動化された航空警戒管制組織も整備されました。これに伴い、長射程の対空兵器として地対空ミサイル（SAM）が開発され、米国陸軍ではナイキ・エイジャックス改良型の導入が行われました。防空戦力の分担については、陸軍と空軍の役割が決定され、効率的な運用が進められています。

航空自衛隊は1958年から防空識別圏を設け、戦闘機を待機させ、必要に応じてスクランブルを実施しています。初めは陸上自衛隊の所管として計画されていたナイキミサイルも、後の連携強化を考慮して航空自衛隊に移管されました。

野戦防空

野戦防空は、戦場において高射砲や防空ミサイルを用いて敵の航空攻撃から地上部隊を守るための体系です。普仏戦争以来、高射砲は主な対空兵器として存在してきましたが、SAMの登場により高・中高度での防空が進みました。イギリス軍は1958年に高・中口径の対空砲の改良を止め、SAMへの移行を加速させました

一方、低高度においては対空機関砲が最も効果的な防空手段となります。理想的な防空システムは、前後や上下に何層にもわたる防空網を持つことが望まれます。例えばアメリカ陸軍では、最前線の短距離防空部隊と後方支援地域の高中高度防空部隊が分担しながら防御を行います。

洋上防空

艦隊防空は、艦艇自身の装備や艦載機による防空活動を中心に組織されています。また、地上基地からの航空支援が早くから行われており、近年ではOTHレーダーや早期警戒機を利用することで、艦隊行動圏外での防空を行うことも可能となりました。この構造を基に、洋上防空が設計されています。

艦隊防空では、航空機による広域防空、艦艇の対空兵器による防御、各艦ごとの自衛と目的に応じた防空が展開されます。アメリカ海軍は、戦闘指揮所を拠点として防空システムを構築しましたが、大日本帝国海軍は攻勢作戦に重点を置き、艦隊防空の概念が未成熟であったため、大きな損失を被りました。

以上のように、防空は国土や艦隊の防護において欠かせない要素であり、歴史と技術の進展とともに最適な防衛策が模索されています。

もう一度検索