オリヴィエ・ブザンスノ

オリヴィエ・ブザンスノ：フランス左翼を揺るがした郵便局員政治家

オリヴィエ・クリストフ・ブザンスノは、1974年パリ近郊生まれのフランス人政治家です。郵便局員として働きながら、革命的共産主義者同盟(LCR)というトロツキズム系の政党で活動し、2002年と2007年のフランス大統領選挙に立候補しました。

彼の経歴は、型破りで注目を集めました。14歳でLCRの青年組織に参加し、高校生時代から政治活動に身を投じます。パリの大学で歴史学を専攻し、修士号を取得。大学在学中にはスーパーマーケットで働きながら、労働組合の支部設立にも携わりました。その後郵便局員となり、現在もその職に就いています。

2002年の大統領選挙では、当時27歳という若さで立候補。120万票（4.25%）を獲得し、特に18～24歳の若年層からの支持が大きかったとされます。2007年の選挙では、反新自由主義、反グローバリズムを掲げ、150万票（4.08%）を獲得。12人の候補者中5位に入り、社会党以外の左翼勢力ではトップの得票数を記録しました。

彼の選挙運動は、演説の巧みさと若々しいエネルギーで注目を集めました。「Nos vies valent plus que leurs profits! (僕達の人生は彼らの収益よりも価値がある！)」というスローガンは、若者世代の共感を呼びました。富の再分配や大企業のレイオフ禁止などを主張する彼の政策は、既存の政治勢力とは一線を画すものでした。

ブザンスノは、アラン・クリヴィヌやロゼリーヌ・ヴァケッタらと共にLCRのスポークスマンを務めました。自身を「トロツキストというよりゲバラ主義者に近い」と表現したことも話題を呼びました。LCRからの離脱後は、反資本主義新党の指導部メンバーとして活動し、スポークスパーソンを務めました。しかし、2012年の大統領選挙には立候補せず、その後も政治活動を継続しています。

彼の活動は、フランス社会に大きな影響を与えました。若い世代の政治参加を促し、既存の左翼勢力に新たな視点を提示しました。郵便局員という肩書きと、その活動の両立は、彼を「赤い郵便配達員」というニックネームで呼ぶ人々からも注目されました。

2022年のロシアによるウクライナ侵攻においては、ウクライナをロシア帝国主義の被害者と位置付け、ウクライナ支援を表明しています。

ブザンスノは、著書『Tout est à nous』(すべては我々のものである)や『Révolution』(革命)などを通して、自身の政治思想を広く発信しています。彼の活動は、フランスの政治史において、若者世代の政治参加と左翼運動のあり方について重要な示唆を与え続けていると言えるでしょう。

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