オリーブの木

オリーブの木（L'Ulivo）

オリーブの木は、1990年代にイタリアで結成された中道左派の政党連合で、静かな影響力を持ちながら国政に参加しました。この運動は、1994年の総選挙において中道右派が勝利し、シルヴィオ・ベルルスコーニが政権を握ったことから始まりました。ベルルスコーニ政権はわずか1年で汚職疑惑により崩壊し、続いて発足したランベルト・ディーニ率いる非政治家内閣は、次なる選挙に向けて中道左派勢力との連携を必要としていました。

「オリーブの木」の誕生

その後、経済学者ロマーノ・プローディが中道左派の結集を目的とした市民運動を開始し、そのシンボルとして「オリーブの木」が選ばれました。これはオリーブの木が平和を象徴し、力強く実をつけることに由来しています。プローディのビジョンに賛同する左翼民主党（PdS）や他の中道政党が参加し、一方で警戒感を抱いた共産主義再建党（PRC）は協力はしませんでしたが、選挙協力には合意しました。この過程で、オリーブの木は旧イタリア共産党系のPdSが中心であるにもかかわらず、プローディを首相候補に据えることで共産主義の印象を軽減することに成功しました。

政権の誕生と運営

1996年の第13回総選挙では、オリーブの木はベルルスコーニ率いる右派連合に対抗し、見事勝利を収めました。「ともにイタリアのために」というスローガンのもとに、中道政党と左派政党が結集し、プローディが首相に就任しました。しかし、1998年にプローディが辞職すると、その後は左翼民主党のマッシモ・ダレマが後任となり、オリーブの木はその後も政権の中心的な役割を果たしていきました。

欧州での影響

2004年の欧州議会選挙では、オリーブの木連合が31.1%の票を獲得しました。この国際的な舞台でも、オリーブの木は存在感を示し、参加政党の統一を図る動きが加速しました。同年には「統一オリーブの木」が再編成され、複数の党が連携して新たな形を創出しました。

日本におけるオリーブの木構想

イタリアのオリーブの木に倣い、日本でも政党連合の構想が持ち上がりました。1998年には旧民主党がいくつかの政党と合流し、新党を形成しました。また、小沢一郎氏の提唱や、都議会選挙における野党結集の努力なども関連しています。これらの動きは、イタリアでの成功をモデルにしており、政治的な再編成や協力が模索される場面が見られます。

確認団体「オリーブの木」とその結果

2019年には市民団体「オリーブの木」が第25回参議院選挙に出馬しましたが、全候補者が落選という結果に終わりました。これは、既存の政党からの支援を受けずに成立した団体であり、イタリアのオリーブの木とは異なるものの、同様の精神を持つ試みであると言えるでしょう。

このように、オリーブの木はイタリアの政治史だけでなく、モデルとして日本の政界にも影響を与えました。

もう一度検索