オルトヨコハマ

オルトヨコハマ

オルトヨコハマは、神奈川県横浜市神奈川区の新子安駅北側に位置する再開発地区です。かつては工場や社宅が立ち並んでいたこのエリアは、大規模な再開発事業によって、商業施設、オフィス、そして住宅が調和した複合的な都市空間へと生まれ変わりました。

歴史

新子安の地は、明治時代に守屋此助によって埋め立てられ、1918年には守屋町と名付けられました。当初は空き地でしたが、昭和に入ると日本鋼管、日産自動車などの工場が進出。1910年には京浜電気鉄道の新子安駅が開業し、1943年には国鉄（現JR）の京浜東北線にも新子安駅が開設され、交通の便が向上しました。

第二次世界大戦後、新子安一丁目の一部はアメリカ軍に接収されましたが、1958年に解除。その後、日産やNKKなどの社宅や寮が建設されました。しかし、商業施設の不足や駅前広場の未整備といった課題も抱えていました。

1988年、新聞報道をきっかけに再開発の検討が始まり、1990年には再開発勉強会、1991年には再開発研究会が発足。1993年には具体的な検討に入りました。この過程で、京急・JR両駅と再開発地区を結ぶ歩行者デッキの設置のため、新子安公園とその南側の私有地を再開発区域に編入することになりました。また、バブル崩壊の影響で、当初のオフィス中心の計画から住宅を中心とした開発へと見直されました。

1993年12月には横浜市の都市計画「ゆめはま2010プラン」で新子安駅周辺が地域拠点に位置づけられ、再開発事業が本格化。1997年4月には都市計画が決定し、同年12月に新子安駅西地区市街地再開発組合が設立されました。地区の愛称は、開発コンセプトと横浜の東側に位置することから、イタリア語で庭園や東を意味する「オルト」に由来する「オルトヨコハマ」に決定しました。

1998年4月には工事の入札が行われ、共同企業体が受注。1999年3月には、町界の変更が行われました。JRの線路を跨ぐ歩行者デッキは、800トンクレーンを用いて一晩で架設されました。総工費300億円、30ヶ月の工期を経て、2000年12月に工事が完了。2001年1月にはグランドオープンを迎えました。

施設

再開発地区は、神奈川区新子安一丁目および入江一丁目の一部にまたがり、面積は約4.6ヘクタール。そのうち4.2ヘクタールが駅前拠点地区、残りが地権者の移転先である一般住宅地区として整備されました。

計画案

当初の計画案には、イタリアの城壁都市を模した「イタリア城壁都市案」と超高層ビルを建設する「超高層棟案」がありましたが、最終的には「駅前庭園都市」というコンセプトが採用されました。このコンセプトに基づき、建物は線路沿いの南側に寄せられ、中央には賃貸住宅棟を配置することで、景観への配慮がなされました。

構成

駅前拠点地区は、東側の「オフィス・商業ゾーン」と西側の「住宅ゾーン」に分かれています。

オフィス・商業ゾーン

オルトヨコハマ ビジネスセンター: 業務・商業棟。
オルトモールコート: 商業棟。核テナントのスーパーマーケットの相鉄ローゼンのほか、レストランなどが入居。
交通広場

住宅ゾーン

オルトヨコハマ ビューポリス: 3館構成の分譲住宅。
オルトヨコハマ ビュータワー: 40階建てのUR賃貸住宅。
駐車場棟
新子安もくれん公園
新子安さくら公園

ビジネスセンターには、オフィスや地域ケアプラザのほか、郵便局や銀行、カフェ、書店などが入居しています。

ビューポリスは、ウエストタワー、センターキューブ、イーストウイングの3館からなり、333戸の住宅があります。

ビュータワーは、40階建てで384戸の賃貸住宅があります。

駐車場棟は、分譲住宅と賃貸住宅の居住者用と商業ゾーン用の駐車スペースが確保されています。屋上には集会所とセントラルパークが設けられています。

歩行者動線

地区内の歩行者動線として、以下の3つが整備されています。

オルトプロムナード: 京急・JR両駅からビジネスセンター北側、オルトモールコートを通り住宅ゾーンを結ぶ歩行者通路。
チェリーウォーク: 敷地南側を通り、新子安公園と新子安さくら公園を結ぶ歩行者通路。
* ガーデンウォーク: チェリーウォークから住宅ゾーンと商業ゾーンの間を南北に通り、北側の住宅地を結ぶ歩行者通路。

これらの整備にあわせて、新子安公園の再整備、都市計画道路新子安大黒線の線形改良及び拡幅整備、京浜東北線新子安駅・京急本線京急新子安駅への歩行者デッキも整備されました。

オルトヨコハマは、かつての工場地帯から、快適な都市生活を支える新たな拠点として生まれ変わりました。

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