オルランド・サリド
メキシコのソノラ州シウダ・オブレゴンで生まれたプロボクサー、オルランド・サリドは、1996年3月にプロのリングに上がりました。デビュー戦はTKO負けというスタートでしたが、彼は粘り強くキャリアを積み重ね、世界の舞台を目指しました。
キャリアの早い段階で、サリドは強豪との対戦を経験します。2004年9月には、当時のWBAスーパー・IBF世界フェザー級王者ファン・マヌエル・マルケスに挑戦しましたが、判定で敗れ、初の世界王座獲得はなりませんでした。
2006年11月、サリドはIBF世界フェザー級王者のロバート・ゲレーロに挑み、判定勝ちを収めて遂に世界王座を手に入れました。しかし、この勝利の直後にドーピング検査で陽性反応が出たため、試合結果は無効とされ、王座も剥奪されるという悲劇に見舞われます。
失意を乗り越え、サリドは再び世界王座を目指します。2008年にはIBF王座決定戦でクリストバル・クルスと対戦しますが、僅差の判定で敗れました。しかし、2010年5月に行われたクルスとの再戦では、序盤に2度のダウンを奪うなど優位に進め、判定勝利で再びIBF世界フェザー級王者に返り咲きました。
IBF王者として迎えた2010年9月のWBA王者ユリオルキス・ガンボアとの王座統一戦では、またしても波乱が起こります。サリドは前日計量をクリアしたものの、試合当日の再計量で大幅に規定体重を超過。IBF王座を剥奪された状態で試合に臨むことになり、結果は判定負けでした。
彼のキャリアを象徴する一連の激闘が始まったのは、WBO世界フェザー級王者ファン・マヌエル・ロペスとの対戦でした。2011年4月、プエルトリコでのアウェー戦となったこの試合で、サリドはアグレッシブなファイトを展開し、8回TKOでロペスを下してWBO世界フェザー級王座を獲得。この勝利は、彼のタフネスと勝負強さを世界に知らしめました。
WBO王者として、サリドは山口賢一、そして因縁のファン・マヌエル・ロペスを相手に防衛を重ねました。特に2012年3月のロペスとの再戦は、前回以上に激しい打ち合いとなり、サリドが粘り強さを見せて10回TKOで勝利。試合後にロペスがレフェリーのストップを批判して処分される一幕もありました。
しかし、2013年1月のミゲル・アンヘル・ガルシアとの防衛戦では、サリドのバッティングによりガルシアが鼻を骨折し、試合続行不能に。不運な負傷判定負けを喫し、王座から陥落しました。それでもサリドはすぐに立ち上がり、同年10月の王座決定戦でオルランド・クルスをTKOで下し、WBO世界フェザー級王座に再び就きました。
次に彼の前に現れたのは、アマチュアボクシングで驚異的な戦績を残したワシル・ロマチェンコでした。2014年3月の対戦では、またしてもサリドが前日計量で体重オーバーとなり、WBO王座を剥奪されるという事態が発生。ロマチェンコが勝った場合のみ王座が移動するという条件で行われた試合で、サリドはベテランの経験と老獪な戦術でロマチェンコを翻弄し、判定勝利を収めました。王座は空位となりましたが、プロ2戦目の怪物候補に土をつけたことは大きな話題となりました。
フェザー級で度重なる波乱を経験した後、サリドはスーパーフェザー級へ転向。2014年9月にはターサク・ゴーキャットジムとのWBO世界スーパーフェザー級暫定王座決定戦に勝利し、見事2階級制覇を達成しました。その後、正規王者に昇格しましたが、初防衛戦でローマン・マルチネスに判定負けを喫し王座を失いました。マルチネスとはその後も激闘を繰り広げ、再戦では引き分けに終わるなど、互いにライバルとして名を刻みました。
キャリア終盤のハイライトの一つが、2016年6月のWBC世界スーパーフェザー級王者フランシスコ・バルガスとの対戦です。この試合は両者が死力を尽くした壮絶な打ち合いとなり、リングマガジン誌のファイト・オブ・ザ・イヤーに選出されるほどの歴史的な名勝負となりましたが、結果は引き分けに終わり、3団体目の王座獲得はなりませんでした。
2017年12月、ミゲル・ローマンにTKO負けを喫した後、サリドは一度引退を表明しましたが、その数日後にはこれを撤回し、現役続行の意思を示しました。
リングを離れた後のサリドの人生もまた、波乱に満ちていました。2017年末には飲酒トラブル、翌年には万引き容疑で逮捕されるなど、たびたび世間を騒がせました。しかし、2018年7月には故郷であるソノラ州の州議会議員選挙に当選するという、意外な転身を遂げています。
プロ通算戦績は63戦44勝（31KO）14敗4分1無効試合。オルランド・サリドは、ドーピング問題や計量失敗による王座剥奪、そして数々の激闘を経験した波乱万丈なキャリアを送りました。安定感には欠けたかもしれませんが、その圧倒的なタフネスとアグレッシブなファイトスタイル、そして予測不能なリング内外での行動により、「シリー」（おかしな奴、の意味）という異名通りの強烈な個性を放った、ボクシング史に残るボクサーです。
キャリアの早い段階で、サリドは強豪との対戦を経験します。2004年9月には、当時のWBAスーパー・IBF世界フェザー級王者ファン・マヌエル・マルケスに挑戦しましたが、判定で敗れ、初の世界王座獲得はなりませんでした。
2006年11月、サリドはIBF世界フェザー級王者のロバート・ゲレーロに挑み、判定勝ちを収めて遂に世界王座を手に入れました。しかし、この勝利の直後にドーピング検査で陽性反応が出たため、試合結果は無効とされ、王座も剥奪されるという悲劇に見舞われます。
失意を乗り越え、サリドは再び世界王座を目指します。2008年にはIBF王座決定戦でクリストバル・クルスと対戦しますが、僅差の判定で敗れました。しかし、2010年5月に行われたクルスとの再戦では、序盤に2度のダウンを奪うなど優位に進め、判定勝利で再びIBF世界フェザー級王者に返り咲きました。
IBF王者として迎えた2010年9月のWBA王者ユリオルキス・ガンボアとの王座統一戦では、またしても波乱が起こります。サリドは前日計量をクリアしたものの、試合当日の再計量で大幅に規定体重を超過。IBF王座を剥奪された状態で試合に臨むことになり、結果は判定負けでした。
彼のキャリアを象徴する一連の激闘が始まったのは、WBO世界フェザー級王者ファン・マヌエル・ロペスとの対戦でした。2011年4月、プエルトリコでのアウェー戦となったこの試合で、サリドはアグレッシブなファイトを展開し、8回TKOでロペスを下してWBO世界フェザー級王座を獲得。この勝利は、彼のタフネスと勝負強さを世界に知らしめました。
WBO王者として、サリドは山口賢一、そして因縁のファン・マヌエル・ロペスを相手に防衛を重ねました。特に2012年3月のロペスとの再戦は、前回以上に激しい打ち合いとなり、サリドが粘り強さを見せて10回TKOで勝利。試合後にロペスがレフェリーのストップを批判して処分される一幕もありました。
しかし、2013年1月のミゲル・アンヘル・ガルシアとの防衛戦では、サリドのバッティングによりガルシアが鼻を骨折し、試合続行不能に。不運な負傷判定負けを喫し、王座から陥落しました。それでもサリドはすぐに立ち上がり、同年10月の王座決定戦でオルランド・クルスをTKOで下し、WBO世界フェザー級王座に再び就きました。
次に彼の前に現れたのは、アマチュアボクシングで驚異的な戦績を残したワシル・ロマチェンコでした。2014年3月の対戦では、またしてもサリドが前日計量で体重オーバーとなり、WBO王座を剥奪されるという事態が発生。ロマチェンコが勝った場合のみ王座が移動するという条件で行われた試合で、サリドはベテランの経験と老獪な戦術でロマチェンコを翻弄し、判定勝利を収めました。王座は空位となりましたが、プロ2戦目の怪物候補に土をつけたことは大きな話題となりました。
フェザー級で度重なる波乱を経験した後、サリドはスーパーフェザー級へ転向。2014年9月にはターサク・ゴーキャットジムとのWBO世界スーパーフェザー級暫定王座決定戦に勝利し、見事2階級制覇を達成しました。その後、正規王者に昇格しましたが、初防衛戦でローマン・マルチネスに判定負けを喫し王座を失いました。マルチネスとはその後も激闘を繰り広げ、再戦では引き分けに終わるなど、互いにライバルとして名を刻みました。
キャリア終盤のハイライトの一つが、2016年6月のWBC世界スーパーフェザー級王者フランシスコ・バルガスとの対戦です。この試合は両者が死力を尽くした壮絶な打ち合いとなり、リングマガジン誌のファイト・オブ・ザ・イヤーに選出されるほどの歴史的な名勝負となりましたが、結果は引き分けに終わり、3団体目の王座獲得はなりませんでした。
2017年12月、ミゲル・ローマンにTKO負けを喫した後、サリドは一度引退を表明しましたが、その数日後にはこれを撤回し、現役続行の意思を示しました。
リングを離れた後のサリドの人生もまた、波乱に満ちていました。2017年末には飲酒トラブル、翌年には万引き容疑で逮捕されるなど、たびたび世間を騒がせました。しかし、2018年7月には故郷であるソノラ州の州議会議員選挙に当選するという、意外な転身を遂げています。
プロ通算戦績は63戦44勝（31KO）14敗4分1無効試合。オルランド・サリドは、ドーピング問題や計量失敗による王座剥奪、そして数々の激闘を経験した波乱万丈なキャリアを送りました。安定感には欠けたかもしれませんが、その圧倒的なタフネスとアグレッシブなファイトスタイル、そして予測不能なリング内外での行動により、「シリー」（おかしな奴、の意味）という異名通りの強烈な個性を放った、ボクシング史に残るボクサーです。
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。