オルレアン公

オルレアン公について

オルレアン公（duc d'Orléans）は、フランスにおける特に重要な公爵位の一つであり、フランス王家にその由来を持ちます。この称号は、ヴァロワ朝の王フィリップ6世が自身の2番目の息子フィリップに与えたのが最初です。つまり、オルレアン公は王太子に次ぐ地位にあり、フランスの公爵位では特に格の高いものでした。

この公爵位は、一般には正嫡の男子がいる際に継承されていましたが、実際に2代以上直系で継承されたのは、ヴァロワ＝オルレアン家とブルボン＝オルレアン家、いわゆるオルレアン家の2系統だけです。1850年以降、オルレアン家はフランスの王位に対する請求を持っています。

歴代オルレアン公

ヴァロワ家

最初にオルレアン公に叙任されたのは、フィリップ(1344年 - 1375年)です。しかし、彼には子供がいなかったため、彼の系譜は1代で断絶しました。その後、彼の甥であるシャルル5世は次男ルイ（1世）にオルレアン公の称号を授けました。この家系はヴァロワ＝オルレアン家と呼ばれ、ルイ2世の代に王位継承が行われましたが、次世代には男子がいなくなり、直系は絶えてしまいました。

1. ルイ1世（1392年 - 1407年）
2. シャルル1世（1407年 - 1465年）
3. ルイ2世（1465年 - 1498年）　フランス王ルイ12世

ヴァロワ＝アングレーム家

ルイ12世の死後、ヴァロワ＝オルレアン家の分枝であるヴァロワ＝アングレーム家からもオルレアン公位を受ける者がいました。彼らの中には、後にフランス王になったアンリ1世やシャルル2世が含まれます。

1. アンリ1世（1519年 - 1536年）　フランス王アンリ2世
2. シャルル2世（1540年 - 1545年）
3. ルイ3世（1549年）
4. シャルル3世（1550年 - 1560年）　フランス王シャルル9世
5. アンリ2世（1560年 - 1574年）　フランス王アンリ3世

ブルボン家

もう一つの系統であるブルボン家は、アンリ3世の暗殺を経て、アンリ4世が即位しブルボン朝が始まりました。彼は次男にオルレアン公の称号を与えましたが、その子は幼少で夭折し、その後は兄弟のガストンへ授けられました。しかしガストンも男子がなく、この家系も1代で断絶します。

1. アンリ4世の次男（1607年 - 1611年）
2. ガストン（1626年 - 1660年）

ブルボン＝オルレアン家

ルイ14世は叔父ガストンの死後、その弟フィリップ（1世）にオルレアン公位を与えました。以降の家系がブルボン＝オルレアン家、または単にオルレアン家と呼ばれました。この家系の第6代オルレアン公ルイ・フィリップ3世は、1830年の7月革命後に「フランス人の王」として即位しましたが、その後1848年の2月革命で退位しました。

1. フィリップ1世（1660年 - 1701年）
2. フィリップ2世（1701年 - 1723年）
3. ルイ4世（1723年 - 1752年）
4. ルイ・フィリップ1世（1752年 - 1785年）
5. ルイ・フィリップ2世ジョゼフ（1785年 - 1793年）
6. ルイ・フィリップ3世（1793年 - 1830年）　フランス王ルイ・フィリップ
7. フェルディナン・フィリップ（1830年 - 1842年）　王太子（プランス・ロワイヤル）
8. フィリップ（ルイ・フィリップ4世）（1850年 - ）　王太孫（プランス・ロワイヤル）

オルレアニストの王位請求者

7月王政崩壊以降、オルレアン家の王位請求者たちはオルレアン公の称号を使っていましたが、やがてルイ・フィリップ王の曾孫フィリップの死によってその直系が絶えました。以降は、オルレアン家当主が公的に名乗る称号はパリ伯に変わります。

1. フィリップまたはルイ・フィリップ4世（ - 1880年）　王位請求者（フィリップ7世）
2. フィリップ（3世）（1880年 - 1926年）　王位請求者（フィリップ8世）

また、オルレアン家当主パリ伯アンリの息子にもオルレアン公の称号が与えられた者がいました。このように、オルレアン公はフランス王家の重要な位置を占め続け、歴代の公爵たちの歴史は現在も多くの人々に語り継がれています。

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