オレたちバブル入行組

半沢直樹シリーズ第一弾『オレたちバブル入行組』：バブル景気と銀行員の闘い

池井戸潤による人気小説『オレたちバブル入行組』は、半沢直樹シリーズの記念すべき第一作目です。2003年から2004年にかけて『別冊文藝春秋』で連載され、その後単行本化、文庫化、そして2013年のテレビドラマ化と、高い人気を誇ります。ドラマ『半沢直樹』（2013年版）の前半部分は、この小説が原作となっています。

物語の舞台は、バブル景気に沸く日本。主人公の半沢直樹は、大手銀行である東京中央銀行（物語内では産業中央銀行）にバブル期に入行したエリート銀行員です。物語開始時点では、大阪西支店融資課長として勤務しています。

5億円の融資失敗と責任転嫁

大阪西支店の支店長である浅野匡の強引な命令により、半沢は西大阪スチールという企業に5億円の融資を実行します。しかし、融資実行直後、西大阪スチールは倒産してしまいます。

浅野支店長は、半沢に融資失敗の責任を押し付けようとします。銀行員にとって、支店への異動、いわゆる「出向」は事実上のキャリア終焉を意味する、いわば「片道切符」です。半沢は、5億円の債権回収という、極めて困難な課題を突きつけられます。

仲間と共に、巨大な陰謀に挑む

半沢は、部下の垣内や同期である渡真利忍、そして様々な関係者（苅田、町工場社長の竹下清彦、信用調査会社の来生卓治など）の協力を得ながら、倒産した西大阪スチールの真相解明に乗り出します。

調査を進めるうちに、半沢は西大阪スチールの社長である東田満による粉飾決算と計画倒産という事実を突き止めます。しかし、その背後には、東京中央銀行の信用に関わる重大な事実が隠されていました。半沢は、東京本店の幹部による陰険な妨害をかわし、難題に立ち向かいます。

登場人物：個性豊かな銀行員と関係者

物語には、個性豊かな登場人物が数多く登場します。主人公の半沢直樹とその妻・半沢花、同期である渡真利忍、そして浅野支店長や東京本店の幹部など、それぞれの思惑が複雑に絡み合い、物語に深みを与えています。

原作小説から生まれた人気ドラマ

『オレたちバブル入行組』は、単なる経済小説にとどまらず、人間の業や社会の闇を描き出す、高いエンターテインメント性を持った作品です。2013年に放送されたテレビドラマ『半沢直樹』は、この小説の高い人気をさらに押し上げ、社会現象にもなりました。ドラマの初回視聴率は19.4％を記録し、原作小説も空前のベストセラーとなりました。

オーディオブック化も

小説は2度オーディオブック化されており、白石稔さんと吉田健太郎さんがそれぞれ半沢直樹役として朗読を担当しています。

『オレたちバブル入行組』は、バブル経済の崩壊という時代の転換期を背景に、銀行という巨大組織の中で生き抜く人間の姿を描いた、必読の一冊です。

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