オンガクお嬢

『オンガクお嬢』シリーズとは

鳥取・島根両県を放送エリアとする日本海テレビが制作・放送する音楽番組シリーズ。2019年に『オンガクお嬢』としてスタートし、2021年には放送時間を拡大して『オンガクお嬢Remix』へとリニューアルしました。さらに2022年からはエフエム山陰でラジオ版『中尾真亜理の月刊FMお嬢』も放送されており、テレビとラジオの両メディアで展開しています。

番組の中心となるのは、日本海テレビアナウンサーの中尾真亜理氏。彼女は「ハリボテお嬢」または単に「お嬢」として出演し、番組を文字通り牽引しています。この番組の特徴として最もユニークなのが、その制作体制です。前番組から大幅に予算が削減されたことを逆手にとり、「超貧乏低予算音楽番組」であることを公言。豪華なスタジオセットなどはありませんが、日本海テレビの本社前やロビーを主な収録場所とし、手作り感あふれる番組作りを行っています。

番組内容と山陰での役割

『オンガクお嬢』シリーズは、山陰地方の民放局としては唯一となるレギュラーの音楽番組です。この地域で行われるライブイベントの情報を中心に、出演アーティストへのインタビューや過去のライブ映像などを紹介することで、地元における音楽シーンを盛り上げる役割を担っています。また、番組放送中にライブチケットの先行予約を受け付けるなど、具体的な音楽体験へと繋がる機会も提供しています。

放送された内容は、テレビ版、ラジオ版ともに番組終了後に「日本海テレビアプリ」やYouTubeでダイジェスト版が配信されることも大きな特徴です（権利上の都合で一部編集される場合もあります）。これにより、リアルタイム視聴が難しい人々も番組に触れることができ、より幅広い層に情報が届けられています。

多様な企画と広がる活動

番組では、メインMCである中尾真亜理氏のキャラクターを活かした様々な企画が生まれています。テレビ版では当初「お嬢の時間」として中尾氏が様々なテーマに挑戦していましたが、現在は「お嬢のテレビ道場」として、若手ディレクターと共に企画から編集までを手掛け、一人前のテレビマンを目指す過程を追っています。また、低予算を逆手に取った「チョイ足しお嬢」や、視聴者参加型の「プレイリストお嬢」、「デュエルお嬢」など、音楽情報だけでなくバラエティ豊かなコーナーが展開されています。

ラジオ版『中尾真亜理の月刊FMお嬢』は中尾氏初の冠番組であり、生放送の特性を活かしたリスナーとの双方向コミュニケーションが魅力です。「お嬢の口癖」や「お嬢のキャッチコピー」など、リスナーからの投稿を元にしたコーナーが多数あり、番組とリスナーが一体となって作り上げる雰囲気が特徴です。

番組はスタジオを飛び出し、イベントも積極的に開催しています。2022年には東京都内で『オンガクお嬢LIVE』を実施。これはアーティストの移動の利便性を考慮してのことでしたが、2024年には日本海テレビとエフエム山陰の共同主催で、念願だった山陰地方での大型フェス『オンガクお嬢FES.』を初開催しました。東京スカパラダイスオーケストラの加藤隆志氏の「山陰でロックフェスを」という思いから実現したこのイベントは、音楽ファンから大きな注目を集めました。食のイベント『おびわんっ!マルシェ』も同時開催され、地域を盛り上げる一大イベントとなりました。

番組を彩る人々

『オンガクお嬢』シリーズは、中尾真亜理アナウンサーの存在抜きには語れません。彼女の自然体でありながらも時に破天荒なキャラクターが、低予算という制約を感じさせない番組の魅力となっています。時には番組内で愛猫や愛犬、さらにはご家族が登場したり、自身のアナウンサー業務やプライベート（プロポーズ企画など）まで企画に取り込むなど、公私混同ならぬ「番組私混同」ぶりがファンに支持されています。

また、番組制作を支えるスタッフも個性的です。役職名に「～野郎」とつくユニークな呼称が用いられており、番組の一体感を演出しています。特に、中尾氏とスタッフが「ハニー号」と名付けられた社用車で各地を移動し、時にはそのタイヤ交換まで番組企画にするなど、制作の裏側や日常すらもコンテンツに変えてしまう柔軟性があります。

多数のアーティストがゲストとして出演するほか、日本海テレビや他局（BSS山陰放送、NCNなど）のアナウンサー、タレント、声優、スポーツ選手、文化人など、様々なジャンルのゲストが登場し、番組に彩りを添えています。近年は日本海テレビの新しい報道番組『One』やダンス大会『DUEL DE DANCE (DDD)』との連携企画も増え、番組の活動範囲はさらに広がっています。

低予算ながらも、地域に根ざした音楽情報発信、ユニークな企画、そしてMCとスタッフ、さらには視聴者が一体となった番組作りで、山陰地方の音楽シーンに欠かせない存在となりつつある『オンガクお嬢』シリーズ。今後の展開からも目が離せません。

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