オンシジューム

オンシジューム（Oncidium）

オンシジュームとは、主に中南米に分布する約400種類を持つラン科の大きな属で、樹上で成長する着生植物が多いです。これらの植物は樹木の上に着生することが一般的ですが、一部には岩の上や地上で成長する種も存在します。そのため、環境に適応した多様な形態を示します。

特徴

オンシジュームのバルブ（偽球茎）は卵形から円筒形、時に扁平な形をしていますが、品種によってはバルブを持たない場合もあります。葉はバルブの先端から数枚生じ、その形状は革質であることが多いものの、剣状や円筒形など多様です。また、バルブの基部から葉が出ることもあります。花茎はバルブの下部から伸び、長くて斜め上に向かい、しばしば多くの花を総状または円錐状に咲かせます。

オンシジュームの花は、唇弁が非常に大きくて目立ち、花の大部分を占めています。萼片と側花弁は、唇弁よりも小さくて細い形をしています。この属の学名「Oncidium」は、ギリシャ語で「とげ」や「隆起」を意味する「onkos」に由来し、唇弁の基部に見られる隆起的な特徴が名前の由来とされています。特にこの属の花色は、黄色が最も頻繁に見られます。

利用

オンシジュームは、その美しさと独特な花形状から、洋ランとして広く栽培されるほか、切り花や装飾用に流通しています。元々は400種もの多様性を持つ大きな属で、観賞価値が高い品種が多数存在しました。これらは便宜的に薄葉系や厚葉系に分類されることが一般的です。

中でも特に人気なのは、黄色の唇弁が顕著で、多くの花をつける品種です。例えば、原種としてはOnc. flexuosum（Gomesa flexuosaのシノニム）やOnc. varicosum（Gomesa varicosaのシノニム）が挙げられます。これらを元に多くの交配が行われ、アロハイワナガなどの代表的な品種が登場しました。また、最近では小型の原種であるケイロフォルム（Onc. cheirophorum）や、ピンク色の花を持つオルニソリンクム（Onc. ornithorhynchum）なども市場で人気を集めています。

種の分類

近年では、分類学の見直しにより、一部の種が他の属に移されることが多くなっています。そのため、黄色の唇弁を持つ種も時折別の属に分類されるようになりましたが、流通名はオンシジュームのままであり、この現象は今後も続くでしょう。

属間交配

さらに、オンシジュームは近縁の他の属との属間交配も活発に行われており、さまざまな人工属が生まれています。これらの例としては、アリセラ、ブラシディウム、コルマナラ、ホウエアラなどがあり、それぞれ異なる親を持つユニークな交配種が生まれています。従来は著名な種が他の属として認識されることもありましたが、それに伴い新たな交配種や品種も増加しています。これにより、オーキッド愛好者にとってより豊かな選択肢が提供されています。

オンシジュームは、熱帯植物でありながら日本でも広く親しまれている植物で、多様な形状や色、特徴を持った種が存在します。その魅力を探求することは、オーキッドの世界を広げる楽しさを提供してくれるでしょう。

もう一度検索