オン・ザ・ボーダー

『オン・ザ・ボーダー』（On the Border）は、1974年にイーグルスが発表した3枚目のアルバムです。このアルバムは、彼らの音楽性が大きく変化する転換期を示す作品として位置づけられます。

前作である『イーグルス・ファースト』や『ならず者』では、カントリー・ロックを基盤としたサウンドを展開していましたが、『オン・ザ・ボーダー』では、より多様な音楽性を追求する過程で、ハードロックの要素を取り入れ、より力強いサウンドへと移行しました。この変化の背景には、メンバー構成の変化とプロデューサーの交代という2つの重要な要因があります。

まず、ギタリストのドン・フェルダーがレコーディング中にバンドに招き入れられ、正式メンバーとして加入しました。彼の加入は、イーグルスのサウンドに新たな可能性をもたらし、ギターサウンドの強化に大きく貢献しました。また、レコーディングの途中から、プロデューサーがグリン・ジョンズからビル・シムジクへと交代しました。シムジクは、よりロック色の強いサウンドを得意としており、彼の起用が、イーグルスのハードロック志向を強める上で重要な役割を果たしました。

アルバムには、トム・ウェイツのカバーである「懐かしき '55年」も収録されています。この曲は、イーグルスの音楽性の幅広さを示すとともに、彼らのルーツへの敬意を表しています。

『オン・ザ・ボーダー』からは、「我が愛の至上（Best of My Love）」がシングルカットされ、見事全米1位を獲得しました。この曲は、1975年のビルボード年間チャートでも12位を記録し、イーグルスの代表曲の一つとして広く知られています。

収録曲は以下の通りです。

Side 1
過ぎた事 - "Already Gone"
恋人みたいに泣かないで - "You Never Cry Like a Lover"
ミッドナイト・フライヤー - "Midnight Flyer"
マイ・マン - "My Man"
オン・ザ・ボーダー - "On the Border"

Side 2
ジェームス・ディーン - "James Dean"
懐かしき '55年 - "Ol' '55"
イズ・イット・トゥルー? - "Is It True?"
地獄の良き日 - "Good Day in Hell"
我が愛の至上 - "Best of My Love"

パーソネル

グレン・フライ (Glenn Frey) – ボーカル、ギター、ピアノ、スライドギター
ドン・ヘンリー (Don Henley) – ボーカル、ドラム
バーニー・レドン (Bernie Leadon) – ボーカル、ギター、バンジョー、ペダル・スティール・ギター
ランディ・マイズナー (Randy Meisner) – ボーカル、ベース
ドン・フェルダー (Don Felder) – リード・ギター、スライドギター

アディショナル・ミュージシャン

アル・パーキンス (Al Perkins) – ペダル・スティール・ギター

『オン・ザ・ボーダー』は、イーグルスの音楽的な変遷を示す重要な作品であり、彼らの多様な音楽性と才能が凝縮された一枚として、今も多くのファンに愛され続けています。

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