オーウェン・フランクス

オーウェン・フランクス（Owen Thomas Franks）は、1987年12月23日、ニュージーランド南島のネルソン近郊、モトゥエカに生を受けた元ラグビーユニオン選手であり、現在は指導者として活動しています。プロップとして長年世界のトップレベルで活躍し、ニュージーランド代表「オールブラックス」の一員として輝かしい実績を残しました。現在は、ラグビー日本代表のフォワードコーチとして、後進の指導にあたっています。

オーウェンの兄、ベン・フランクスも同じくプロップの選手であり、兄弟揃ってラグビー界で名を馳せました。クライストチャーチ・ボーイズハイスクールで才能を育み、学生時代からニュージーランドセカンダリースクール代表や21歳以下代表に選ばれるなど、将来を嘱望されていました。

プロキャリアは、ニュージーランド国内最高峰の州代表選手権、当時のエアニュージーランドカップ（現在のITM CUP）に属するカンタベリー州代表チームでスタートしました。2007年のことです。翌年には、兄ベンとともに兄弟プロップとして試合に出場し、注目を集めました。

2009年、南半球の主要クラブチームによる国際リーグ、スーパーラグビー（当時はスーパー14）に所属するクルセイダーズに加わりました。この年、弱冠21歳でニュージーランド代表「オールブラックス」に選出され、イタリアとのテストマッチで代表デビューを飾り、チームの勝利に貢献しました。

特に記憶されるのは、兄ベンとのオールブラックスでの共演です。2010年6月12日のアイルランド戦に兄弟揃って出場し勝利したことは、1995年のワールドカップでも活躍したブルック兄弟（ロビン、ジンザン）以来という、オールブラックスの歴史においても稀な出来事となりました。スクラムの最前線を担うプロップ兄弟として、彼らはチームの強固な基盤を支えました。

ラグビーワールドカップにおいても、フランクス兄弟は歴史を築きました。2011年に自国ニュージーランドで開催されたワールドカップに兄弟揃って出場し、ニュージーランド代表の24年ぶりとなる優勝に大きく貢献しました。そして、2015年のイングランド大会にも引き続き兄弟で選ばれ、ニュージーランド代表は大会史上初となる連覇を達成しました。この偉業により、オーウェンとベンは、ラグビーワールドカップで複数回優勝メンバーとなった初の兄弟という、不滅の記録を打ち立てました。

オールブラックスとしては、2019年のザ・ラグビーチャンピオンシップまでプレーし、この大会での出場が代表としての最後のキャリアとなりました。オールブラックス通算108キャップは、プロップとしては歴代最多級の記録であり、彼の安定性と献身性を物語っています。

その後、活動の舞台を海外に移し、2019年にはイングランドのノーサンプトン・セインツに加入しました。さらに、2021年には再びスーパーラグビーに戻りハリケーンズでプレーし、2023年にはフランスのトゥールーザン、そして2024年には再び古巣のクルセイダーズに戻るなど、タフなプロップとして長く現役を続けました。

選手としてのキャリアに終止符を打った後、指導者としての新たな道を歩み始めます。2024年6月1日、エディー・ジョーンズ氏が再び指揮を執ることになったラグビー日本代表チームにおいて、フォワードを担当するアシスタントコーチに就任しました。ワールドカップ優勝を複数回経験した彼の豊富な知識と経験は、日本代表のスクラムやブレイクダウンといったフォワードプレーの強化に貢献することが期待されています。

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