オーギュスタン・デシャルム

オーギュスタン・デシャルムの生涯と業績

オーギュスタン・デシャルム（Augustin Marie Leon Descharmes）は、1834年にフランスで生まれ、1916年にその生涯を閉じた軍人です。彼は皇后直属の竜騎兵に所属しており、軍事的な経験を通じて後に日本における重要な役割を果たしました。特に、幕末から明治時代にかけての日本の歴史の中で、彼の影響力は無視できません。

日本への来日

デシャルムは慶応3年（1867年）、シャルル・シャノワーヌと共に、日本の政府からの依頼を受けて軍事顧問団の一員として来日しました。当時、日本は内乱期にあり、幕府の瓦解の只中にありました。彼らの派遣は、日本の軍事力を近代化しようとする動きの一環でしたが、残念ながらその活動は幕府の崩壊とともに終息を迎え、一時帰国を余儀なくされました。

しかし、デシャルムは明治政府の要請を受けて1872年に再度日本を訪れ、1876年までの数年間を滞在しました。この期間中、彼は新政府の軍事改革に尽力し、日本の近代兵器や戦術の導入に大きな貢献をしました。彼の専門知識と経験は、当時の日本において非常に価値のあるものであり、その後の日本の軍制改革に影響を与えました。

ロンドンでの任務

その後、デシャルムは1881年から1885年までロンドンのフランス大使館に勤務し、陸軍武官としての役割も担いました。この間、彼は国際的な舞台でも活躍し、各国の軍人や外交官との交流を深めました。特に注目すべきは、彼の音楽的才能です。

音楽家としての才能

デシャルムは、音楽家としても知られており、着任時にグランド・ピアノを持ち込んだことで、多くの人々の興味を引きました。彼はモーツァルトやベートーヴェン、ショパンなどの作品を自在に弾きこなすことができました。そのため、当時の社交の場でも良く演奏を披露し、多くの人に親しまれていました。

特に、ロンドンでのある会食の際には、有名なヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムと出会うことがありました。会席の場で、ヨアヒムが伴奏者を探していると、デシャルムがピアノの前に座り、譜面を一目見ただけで演奏を始めました。この瞬間、ヨアヒムは驚きつつも、デシャルムの才能に心から満足したと言われています。

最後に

デシャルムは、軍人としてだけでなく、音楽家としても高い評価を受けた人物です。彼の日本での活動や国際的な影響力は、近代日本における軍事的・文化的な交流の象徴とも言えるでしょう。今日、彼の業績は日本の近代史において重要な一ページを飾っています。

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