オートバイ用オイル

オートバイ用オイル：種類と選び方

オートバイのエンジンやトランスミッション、サスペンションといった各部に使用されるオイルは、その用途によって様々な種類があります。本稿では、オートバイ用オイルの種類、特性、選び方のポイントについて詳しく解説します。

エンジンオイル

オートバイの心臓部であるエンジンを保護するために欠かせないエンジンオイルは、大きく分けて2ストロークエンジン用と4ストロークエンジン用があります。

4ストロークエンジンオイル

4ストロークエンジンオイルは、エンジン、トランスミッション、湿式多板クラッチを潤滑する役割を担います。多くの場合、これらの部品は共用のオイルで潤滑されるため、クラッチの摩擦性能を損なうことなく、ギアボックスの潤滑にも適した配合が求められます。そのため、四輪車用オイルと比べ、クラッチへの配慮がなされた配合となっています。

4ストロークエンジンオイルは、API規格によるグレード表示とSAE規格による粘度表示で性能が示されます。日本においては、JASO T903という二輪自動車用エンジンオイルの規格も制定されています。近年、四輪車では燃費向上のため低粘度オイル(例：0W-20)の採用が増えていますが、高回転域での使用が多いオートバイでは、油膜切れによるエンジン部品の摩耗や焼き付きのリスクが高まるため注意が必要です。

2ストロークエンジンオイル

2ストロークエンジンオイルは、ガソリンと混合して燃焼室へ供給されます。混合比は、一般的に25：1から50：1です。供給方式には、燃料とオイルを予め混合する混合給油方式と、オイルを別にタンクから供給する分離給油方式があります。

JASO規格では、2ストロークエンジンオイルの規格としてJASO M345が制定されています。グレードはFB、FC、FDの3種類があり、FCはFBより排気煙が少ないロースモークタイプ、FDはFCより高温時の性能が向上しています。

2ストロークエンジンオイルは、ギヤの潤滑は別途ギヤオイルで行われるため、オートバイ用、水上オートバイ用、船外機用など、用途の違いはさほど重要ではありません。重要なのは、分離給油方式か混合給油方式かといった給油方式との適合性です。

ギヤオイル

2ストロークエンジン車や、トランスミッションがエンジンと別に潤滑される車種では、ギヤオイルが使用されます。スクーターのファイナルリダクションギアボックスも、ギヤオイルを使用する例です。製品によっては、SAE粘度表示を用いる場合もあります。4ストロークエンジンオイルを代用することもありますが、湿式多板クラッチを持つ車種ではクラッチ滑りの可能性があります。

フォークオイル

オートバイのフロントサスペンションであるテレスコピックフォークには、フォークオイルが封入されています。フォークオイルは、ショックアブソーバーの減衰力を調整するために使用されます。オイルの交換や特性の異なるオイルへの変更により、サスペンションの減衰力を調整することができます。

チェーンオイル

ローラーチェーンを使用するオートバイでは、チェーンの磨耗を防ぎ、駆動効率を維持するためにチェーンオイルを使用します。

オイル選びのポイント

オイルを選ぶ際には、オートバイの車種、エンジンタイプ（2ストロークまたは4ストローク）、メーカー推奨の規格や粘度などを確認することが重要です。また、使用環境や走行状況に合わせて適切なオイルを選択することが、エンジンの寿命を延ばし、性能を維持するために不可欠です。

主要メーカー

オートバイ用オイルを製造する主なメーカーには、カストロール、シェル、クエーカーステート、モチュール、ワコーズなどがあります。それぞれのメーカーが、様々な車種や用途に合わせたオイルを開発、販売しています。

まとめ

オートバイ用オイルは、その種類や特性が多様で、適切なオイルを選ぶことがオートバイの性能と寿命を左右します。本稿で紹介した情報を参考に、愛車の状態や使用環境に最適なオイルを選び、安全で快適なライディングを楽しみましょう。

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