オートブラケット機構

オートブラケット機構：複数のカットで撮影の幅を広げる

オートブラケット機構は、カメラが基準値を変化させながら複数枚の写真を連続で撮影する機能です。元々は露出の調整（露出ブラケット）に使用されていましたが、現在ではフラッシュ、フォーカス、ホワイトバランス、ISO感度など、様々な撮影パラメータにも適用されています。この機能により、最適な露出や設定を見つける作業が容易になり、撮影表現の幅を広げることが可能になります。

露出ブラケット：最適な露出値を探る

露出ブラケットは、最も基本的なオートブラケット機能です。カメラは自動で露出値を決定しますが、撮影状況によっては期待通りの結果が得られない場合があります。露出ブラケットでは、カメラが自動で算出した露出値に加え、露出をアンダー（低め）とオーバー（高め）に調整した複数枚の写真を撮影します。これにより、撮影後に最適な露出値を選択できるため、特にダイナミックレンジの狭いリバーサルフィルムを使用する場合に有効です。

露出ブラケットでは、撮影枚数（通常は3枚または5枚）、露出ステップ（1段、1/2段、1/3段など）、露出の幅（基準値±1段など）を調整できます。また、シャッター速度と絞りのどちらを変更するか、あるいは両方を変えるかを選択することも可能です。キヤノンではAEB（Auto Exposure Bracketing）、京セラコンタックスではABC（Auto Bracketing Control）という名称でこの機能を提供しています。

その他のオートブラケット機能：多様な撮影パラメータを制御

露出以外にも、様々な撮影パラメータをブラケティングする機能が搭載されています。

フラッシュブラケット

キヤノンのE-TTL撮影機能の一つであるFEB（Flash Exposure Bracketing）は、フラッシュの光量を変化させて複数枚の写真を撮影する機能です。フラッシュ光が強めと弱めの写真が得られるため、被写体の明るさや影の具合を調整する際に役立ちます。

フォーカスブラケット

コンタックスの一部のカメラに搭載されているフォーカスブラケットは、ピント位置をわずかにずらして複数枚の写真を撮影する機能です。被写界深度が浅い場合や、被写体の動きが速い場合に、ピントの合った写真を確実に得るために有効です。

ホワイトバランスブラケット

デジタル一眼レフカメラの上位機種に搭載されることが多いホワイトバランスブラケットは、色温度を変化させて複数枚の写真を撮影する機能です。アンバー側とブルー側、またはマゼンタ側とグリーン側などに色温度を変更した画像を取得できます。撮影時の光源の違いによる色温度のずれを補正する際に役立ちます。

ISO感度ブラケット

ISO感度ブラケットもデジタル一眼レフカメラの上位機種に搭載される機能です。設定したISO感度に加え、低感度と高感度の画像を撮影します。絞りやシャッター速度を変更せずに明るさを変えることができるため、被写界深度や動感を維持したまま、明るさの異なる複数枚の写真を撮影できます。

まとめ：オートブラケット機能の活用

オートブラケット機能は、カメラの設定を自動で変化させて複数枚の写真を撮影する便利な機能です。露出だけでなく、フラッシュ、フォーカス、ホワイトバランス、ISO感度など、様々なパラメータをブラケティングすることで、撮影の幅を広げ、より高度な写真表現を可能にします。それぞれの機能の特徴を理解し、撮影状況に合わせて適切に活用することで、より質の高い写真撮影を実現できます。

もう一度検索