オーバー・ジ・エッジ

WWF『Over the Edge』：栄光と悲劇のペイパービューイベント

『Over the Edge』は、世界的なプロレス団体WWF（現WWE）が1998年と1999年に開催したペイパービューイベントです。2回に渡って開催されましたが、1999年大会での痛ましい事故をきっかけに、以降は開催されなくなりました。

1998年大会：ミルウォーキーの熱狂

1998年5月31日、ウィスコンシン州ミルウォーキーのウィスコンシン・センター・アリーナで開催された第1回大会には、9,822人の観客が熱狂的な声援を送りました。

この大会では、L.O.D.2000対ディサイプルズ・オブ・アポカリプスといったタッグマッチから、ザ・ロック対ファルークによるWWFインターコンチネンタル王座戦、そしてケイン対ベイダーのマスクvsマスクマッチなど、見どころ満載のカードが組まれました。メインイベントを飾ったのは、WWF王座を懸けたストーンコールド・スティーブ・オースチン対デュード・ラブのノーDQフォールズ・カウント・エニウェア・マッチで、オースチンが王座を防衛しました。

1999年大会：影を落とした悲劇

1999年5月23日、ミズーリ州カンザスシティのケンパー・アリーナで開催された第2回大会には、16,472人の観客が集まりました。

この大会では、ザ・ロック対トリプルH、そしてメインイベントのストーンコールド・スティーブ・オースチン対ザ・アンダーテイカーによるWWF王座戦など、激しい試合が繰り広げられました。しかし、この大会は、プロレス界に深い悲しみをもたらす、予期せぬ事故によってその名を歴史に刻むことになります。

オーエン・ハートは、WWFデビュー当初のギミックである覆面レスラー、ブルー・ブレイザーとしてインターコンチネンタル王座に挑戦する予定でした。しかし、天井から吊るされて入場する演出中にワイヤーが外れ、悲劇的な転落事故が発生しました。オーエンはリングに激しく叩きつけられ、すぐに病院へ搬送されましたが、まもなく息を引き取りました。

この事故は、番組放送中に発生し、放送は若干の中断がありましたものの、最後まで続けられました。この対応に対して、オーエンの実兄であるブレット・ハートを始めとする多くの人々からWWFへの激しい批判が噴出しました。

『Over the Edge』のその後

オーエン・ハートの死は、プロレス界に衝撃を与え、安全対策の重要性を改めて認識させることとなりました。この事故を機に、WWFは安全対策の強化を図り、天井からの演出方法の見直しなど、様々な改善策を導入しました。しかし、この痛ましい事故によって、『Over the Edge』は二度と開催されることはありませんでした。このイベントは、プロレスの華麗さと残酷さを同時に象徴する、記憶に残るものとなりました。

まとめ

『Over the Edge』は、プロレス史における重要なイベントの一つとして、その名を残しています。華やかな試合の数々と、オーエン・ハートの死という悲劇は、このイベントを忘れがたいものとして記憶に刻み込まれています。このイベントは、プロレスのエンターテイメント性と、その危険性、そして安全対策の重要性を改めて考えさせる、教訓的な出来事であったと言えるでしょう。

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