オープンボルト

オープンボルト方式とは

オープンボルト方式とは、自動火器における発射サイクルの方式の一つです。

概要

自動火器が発射可能な状態にあるとき、ボルト（遊底）と稼働部品が後退したまま保持される方式をオープンボルト方式と呼びます。

トリガーを引くと、ボルトが前進し、弾倉（マガジンや給弾ベルト）から弾薬を薬室（チェンバー）へ送り込み、薬室を閉鎖して撃発、弾丸を発射します。発射のエネルギーを利用してボルトは後退し、空薬莢を排出しつつ、次弾の発射準備を行います。

オープンボルト方式は通常、フルオート射撃が可能な武器に用いられ、セミオート射撃の武器にはあまり用いられません。APIブローバック方式の火器は、必然的にオープンボルト方式となります。

長所

部品点数の少なさ: クローズドボルト方式と比較して、可動部品が少ない傾向があります。ファイアリングピン（撃針）がボルトと一体化していることが多く、製造コストを抑えられます。
コックオフの防止: 薬室の過熱によるコックオフ（弾薬が意図せず発火する現象）が発生しにくいです。クローズドボルト方式では、射撃準備のために弾薬を薬室に装填しておく必要がありますが、オープンボルト方式ではトリガーを引くまで薬室は開放されているため、コックオフのリスクを低減できます。
冷却効果: 銃身の前後が外気に触れているため、一般的にクローズドボルト方式よりも冷却されやすく、機関銃のような連続射撃を行うフルオート武器に適しています。

短所

暴発の危険性: 落下などの衝撃で暴発しやすい傾向があります。弾倉を装着し、ボルトを前進させた状態で銃を扱う際、衝撃が加わるとボルトが慣性で後退し、弾を発射する可能性があります。また、コッキングハンドル操作中に誤ってボルトを前進させてしまった場合にも、同様の危険性があります。
異物の侵入: 発射可能状態ではボルトが開いているため、泥や埃などの異物が侵入しやすいです。そのため、排莢口にカバーなどを設ける必要が生じることがあります。
射撃精度の低下: トリガーを引いてから実際に撃発するまでの時間差が大きいため、プロペラ同調装置（航空機のプロペラ回転と射撃タイミングを同調させる装置）を使用できません。また、ボルトの前進時に大きな振動が発生しやすく、クローズドボルト方式に比べて初弾の命中精度が劣る傾向があります。

法規制

オープンボルト方式の武器は、セミオートからフルオートへの改造が比較的容易であるため、アメリカ合衆国では1982年にATF（アルコール・タバコ・火器取締局）によって規制が行われました。この規制以降に製造されたオープンボルト方式のセミオート武器は、フルオート武器と同様の扱いを受け、厳しく管理されるようになりました（ただし、規制以前に製造されたものは規制の対象外となります）。

関連項目

* クローズドボルト

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