オールドノリタケ

オールドノリタケの魅力と歴史

オールドノリタケは、日本陶器合名会社（現在のノリタケ）が、明治から昭和前期にかけて欧米に輸出した陶磁器類を指します。特に花瓶や置物といった装飾品、さらには洋食器などが中心で、芸術的な絵付けや繊細な細工が施されています。これらの特徴によって、多くの収集家に愛されているのです。

歴史的背景

1876年、森村市左衛門が商社の森村組を設立したことが、オールドノリタケの始まりでした。1904年には、日本陶器合名会社が設立され、愛知県名古屋市に工場を構えて陶磁器の製造が開始されました。その後、1914年には日本初のディナーセットが完成し、主にアメリカ合衆国へ輸出されるようになりました。この製品は瞬く間に人気を博し、日本の陶磁器の素晴らしさを世界にアピールしました。

日本国内での再評価

日本国内では、日本陶器の製品が販売されることはほとんどなく、一般にはあまり認知されていませんでした。一方、輸入先であるアメリカでは1970年代に専門誌が発行され、骨董愛好家たちの間でオールドノリタケのブームが起こりました。1990年代に入ると、婦人雑誌やアンティーク誌で「オールドノリタケ」という名称が広まるようになり、より多くの日本人がこの美しい陶器に興味を持つようになりました。加えて、2001年にはノリタケの森が開業し、オールドノリタケの展示を行う企業博物館「ノリタケミュージアム」がオープンしました。これにより、おなじみの名古屋を訪れる文化的観光スポットのひとつとなります。

オールドノリタケの定義

オールドノリタケの定義については、学術的な議論が続いています。一般的に知られているオールドノリタケは、金盛装飾が施された陶器ですが、これらの多くは日本陶器合名会社が設立される以前に製造されたものであり、貿易商社であった森村組時代の代物です。オールドノリタケはアール・ヌーボーやラスター彩、アール・デコといった時代の流行を取り入れたデザインを特徴としており、これが全て「オールドノリタケ」として総称すべきかについては今なお議論があります。

収集の魅力

オールドノリタケの魅力は、その美しさだけでなく、歴史的な背景にもあります。収集家にとって、これらの陶器は単なる装飾品ではなく、時代の流れや技術の進化を物語る貴重な遺産です。また、その研究や保存が進むことで、より多くの人々がこの文化遺産の価値を理解し、楽しむ機会が増えています。日本の技術が生み出したオールドノリタケは、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。

参考文献

• - 井谷善恵『オールド・ノリタケ 近代輸出磁器の煌めき』いなほ書房、2017年
• - 井谷善恵（著）、宮川邦雄（写真）『オールド・ノリタケのアール・デコ』平凡社、2008年
• - 鈴木潔（監修）『オールドノリタケと懐かしの洋食器』東方出版、2008年
• - 瀬戸市文化センター（企画・編集）『オールドノリタケの美』大せともの祭協賛会、2003年
• - 樋田豊次郎（監修）『オールド・ノリタケの世界』リタケカンパニーリミテド、1996年

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