ノリタケ

ノリタケ株式会社：歴史と革新を紡ぐグローバル企業

ノリタケ株式会社は、1904年（明治37年）、森村市左衛門、大倉孫兵衛、飛鳥井孝太郎らによって日本陶器合名会社として創業されました。愛知県名古屋市に本社を置く同社は、世界最大級の高級陶磁器と砥石メーカーとして広く知られており、近年は環境エンジニアリング事業にも力を入れています。

社名の由来は、創業地である愛知郡鷹場村大字則武（現在の名古屋市中村区則武）の地名の『則武』から来ており、人名に由来するものではありません。2024年7月25日には、創立120周年を記念して、商号を株式会社ノリタケカンパニーリミテドからノリタケ株式会社に変更しました。

明治から昭和初期：高級洋食器の輸出と「オールドノリタケ」

日本陶器は、日本で初めて高級洋食器の生産に乗り出し、明治時代から戦前にかけて、陶器商社の森村組を通じて欧米への大量輸出を行いました。ハンドメイドによる精緻な絵付けと繊細な細工が特徴で、特にアール・デコ調のデザインの食器は、現在でも高い人気を誇っています。この時代の製品は「オールドノリタケ」と呼ばれ、コレクターアイテムとして珍重されています。欧米での人気は絶大で、模造品が出回るほどでした。戦後には、アメリカ軍将兵のお土産として販売された製品を「プレミアノリタケ」と呼び、愛好家がいるほどです。

戦後から現代：多角化とグローバル展開

第二次世界大戦で甚大な被害を受けた日本陶器は、戦後は一時的に「ローズチャイナ」ブランドで輸出を行うなど、ブランドの再構築に努力を重ねました。その後、日本の高度経済成長を背景に、電子部品やファインセラミックスといった新分野にも積極的に進出し、再びノリタケブランドを確立しました。東京[[証券取引所]]と名古屋[[証券取引所]]の第一部に上場し、日本初のIBM製品導入企業でもあります。

1981年には、商号を株式会社ノリタケカンパニーリミテドに変更。現在では、食器事業の売上比率は全体の15％程度となっており、工業機材、セラミックマテリアル、環境エンジニアリングの3事業が全体の75％以上を占めています。（2006年9月期）。

工業機材事業では、砥石、研磨布紙、CBN、ダイヤモンドなど、研削材や半導体材料を製造・販売。セラミックマテリアル事業は、電子ペースト、回路基板、窯業材料などを手掛けています。環境エンジニアリング事業では、液晶ディスプレイや電池材料向けの焼成炉といった産業機械を扱っています。

2009年には、関連会社4社を吸収合併し、2010年にはさらに2社を吸収合併するなど、積極的に事業再編を進めてきました。

ノリタケグループと森村グループ

ノリタケ株式会社は、森村グループの中核企業です。森村グループには、TOTO、日本碍子、日本特殊陶業、大倉陶園、共立マテリアル、森村商事など、多様な企業が名を連ねています。これらの企業は、森村商事（旧森村組）の設立した企業や、ノリタケカンパニーリミテドから分社した企業が中心です。

ノリタケグループは、工業機材部門、セラミックマテリアル事業、エンジニアリング事業、食器事業など多様な事業を展開しています。砥石、研磨材、電子部品、焼成炉など、幅広い製品をグローバルに提供しています。

名古屋のランドマーク「ノリタケの森」

名古屋市西区則武にある「ノリタケの森」は、ノリタケ株式会社の企業文化施設として一般公開されており、歴史的建造物や庭園などが整備されています。近年、名古屋市が推進する「産業文化観光」の拠点の一つとして、観光客にも人気を集めています。かつては、この場所にドーム球場を建設する構想もありました。もし実現していれば、日本初のドーム球場になっていた可能性があります。

ノリタケ株式会社は、120年以上にわたる歴史と伝統を背景に、常に時代の変化に対応しながら、革新的な技術開発とグローバルな事業展開を推進し続ける、日本の代表的な企業の一つです。

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