オールド・タウン・ロード

「オールド・タウン・ロード」(Old Town Road)は、アメリカのラッパー、リル・ナズ・Xが2018年12月3日にリリースしたデビューEP「7」のリードシングルです。この楽曲は、カントリー音楽とラップという異質なジャンルを融合させたことで、大きな反響と議論を呼び起こし、その結果「カントリー・ラップ」という新たなジャンルをメインストリームへと押し上げる原動力となりました。

楽曲の背景

この楽曲のバックトラックは、オランダのプロデューサー、YoungKioが制作し販売していたものがベースとなっています。YoungKioは、ロックバンド、ナイン・インチ・ネイルズが2008年にリリースしたアルバム「Ghosts_I-IV」に収録されている「34 Ghosts IV」をサンプリングしてこのトラックを制作しました。興味深いことに、リル・ナズ・Xは、このYoungKioのトラックを30ドルで購入するまで、ナイン・インチ・ネイルズの存在を知らなかったそうです。

リミックス版の誕生

オリジナル版のリリース翌日、リル・ナズ・Xは自身のTwitterで、カントリー歌手のビリー・レイ・サイラスが楽曲に参加してくれたら嬉しいという希望を表明しました。この願いはレコード会社を通じてサイラスの耳に届き、彼自身が楽曲を気に入ったことでコラボレーションが実現しました。2019年4月5日にリリースされたリミックス版「オールド・タウン・ロード feat. ビリー・レイ・サイラス」は、ミュージックビデオの公開も相まって、SNS上で大きな話題となり、世界中で大ヒットを記録しました。

リミックス版のリリースに先立つ2019年3月22日には、オリジナル版の成功を受けて、リル・ナズ・Xはコロムビア・レコードとの契約を締結。これにより、楽曲の販売や配信、ラジオでのオンエアがスムーズに進むようになりました。

チャートでの成功

「オールド・タウン・ロード」は、幅広い層に支持され、アメリカのBillboard Hot 100で19週連続1位という最長記録を達成。また、全英シングルチャートでも1位を獲得するなど、世界中で圧倒的な人気を博しました。アメリカレコード協会（RIAA）からは、オリジナル版がトリプルプラチナ、リミックス版が14xプラチナに認定されています。

さらに、第62回グラミー賞では、EP「7」を含め、「レコード・オブ・ザ・イヤー」をはじめとする3部門にノミネートされるなど、音楽業界からも高い評価を受けました。

このように、「オールド・タウン・ロード」は、音楽ジャンルの垣根を越えた革新的なサウンドと、SNSを巧みに活用したプロモーション戦略によって、現代の音楽シーンにおける新たな成功モデルを確立したと言えるでしょう。

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