オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜

『オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜』

『オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜』（All Is Lost）は、2013年に公開されたアメリカのサバイバル映画で、監督と脚本をJ・C・チャンダーが担当しています。
本作は彼にとって2本目の長編映画となり、主演にはロバート・レッドフォードだけが起用されています。会話がほとんどない中で展開される物語は、観る者に深い印象を与える力強いドラマです。

あらすじ

物語は、インド洋で単独航海をしている男が、眠りから覚めたときに始まります。彼は夢の中から飛び起き、不意の衝撃を感じます。その瞬間、彼の乗るヨットで水が侵入してきていることに気付きます。大型のドライコンテナが接触し、ヨットの船体に大きな穴が開いてしまったのです。さらに航法装置や無線機、ノートパソコンも水没してしまい、彼は孤立した状況に追い込まれます。

天を覆うような雨雲が迫り、雷鳴が響き、猛烈な暴風雨が襲ってきます。嵐によってヨットはますます深刻なダメージを受け、浸水が進行します。男は必死に水をかき出そうと奮闘し、何とか沈没は免れますが、今度は先ほど衝突したコンテナに繋げて何とかサバイバルを試みることになります。コンテナから取り出そうとした食料は運動靴だけで、失望感が一層彼を襲います。

その後、最初の穴は一時修理されたものの、再度嵐が来襲。男はヨットを捨て、ほとんどの食料を持たずに救命ボートに移ります。そこで彼は、浸水、サメの襲撃、飲み水や食糧の枯渇といった数々の危機に直面します。その中で、彼は自身の本当の感情と対峙せざるを得なくなり、大切な人への未練を込めた手紙を綴ることを決意します。

キャストと制作

主なキャストとしては、主演の「我らの男」をロバート・レッドフォードが演じ、作品全体の重厚感を担っています。チャンダーは、2011年に『マージン・コール』での成功を受けてこの映画を企画し、レッドフォードにオファーしました。撮影はメキシコのロザリト・ビーチで行われ、水槽を使った特殊な環境が整えられました。レッドフォードは、撮影中に耳を怪我したことも公表しています。

音楽はアレックス・イーバートが手掛け、サウンドトラックは映画公開と同じ年に発売されました。

公開と評価

映画は2013年5月22日にカンヌ国際映画祭で初上映され、その後アメリカでは2013年10月に公開されました。Rotten Tomatoesでは評価が高く、多くの評論家から支持を受けています。特にレッドフォードの演技は称賛され、彼の孤独的な演技は観客の心を強く引きつけました。

映画の範囲は限定されるものの、そのテーマやアイデアが巧妙に実行されており、多くの批評家から高く評価されています。レッドフォード自身もアカデミー賞の主演男優賞に値する演技であったと認識されていますが、結局受賞の運には恵まれませんでした。

結論

『オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜』は、サバイバル映画でありながらも、個人の内面的な葛藤をも描いた深い作品です。レッドフォードの存在感が際立ち、ストーリーの中で彼が浮かび上がる人間の本質を見事に表現しています。

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