オー・カセ

オー・カセ（Ocasse）とは

オー・カセは、ティアックが開発した、コンパクトカセットのリール部分を磁気テープごと着脱可能にした、リール交換式のカセットテープシステムです。1984年2月に発売され、小型軽量化とリールテープ単体の低価格化を特徴としていました。このシステムは、オープンリールの利点を取り入れつつ、コンパクトカセットの利便性を維持しようとした試みでした。

オー・カセの構造

オー・カセは、リールホルダーとリールテープという2つの主要な要素で構成されています。

リールホルダー: 金属製の眼鏡型をしており、リールテープを取り付けることで、コンパクトカセットと互換性を持つよう設計されています。リールテープの着脱は手動で行います。
リールテープ: 日立マクセル（現・マクセル）製のオーディオ用磁気テープを使用しています。記録時間は両面で50分（片面25分）に統一され、ノーマル（TypeI）、ハイポジション（TypeII）、メタル（TypeIV）の3種類のテープがありました。

オー・カセの長所

オー・カセは、以下の点で従来のコンパクトカセットやオープンリールと比較して利点がありました。

コンパクトカセットとの互換性: リールホルダーにリールテープを取り付けることで、通常のコンパクトカセットプレーヤーで使用できました。
リールテープの小型軽量化: 単体のリールテープは、コンパクトカセットの1/7の体積、1/4の重さでした。
テープ走行抵抗の低減: 理論的に、テープ走行時の抵抗がコンパクトカセットよりも小さかったです。
テープ編集の容易性: テープ自体の物理的な切り貼り編集が容易に行えました。
低価格化の可能性: リールテープ単体での販売により、低価格化が期待できました。

オー・カセの短所

一方で、オー・カセには以下のような短所も存在しました。

リールホルダーへの着脱の手間: リールテープのリールホルダーへの着脱が面倒でした。
テープの保護不足: リールテープは露出しているため、湿気に弱く、取り扱いにも注意が必要でした。
テープポジション検出の手間: リールテープの種類によって、リールホルダーのテープポジション検出孔を手動で変更する必要がありました。
録音再生中のテープ交換不可: 録音再生中にリールテープをリールホルダーから取り外すことができませんでした。
リールテープの扱いにくさ: 当時の記録テープとしては、小さすぎて扱いにくいと感じられることがありました。
使用できる機器の制限: その構造上、カーオーディオ、ウォークマン、初期のカセットデッキ、一部のラジカセなど、多くの機器で使用できませんでした。

商品展開と終焉

オー・カセは、リールホルダーとリールテープのセット販売だけでなく、リールテープの個数の違うセットや多色展開など、多様な商品展開を行いました。しかし、コンパクトカセット自体の低価格化が進み、価格競争力を失い、オープンリールのような使い勝手を求める消費者が少なかったため、市場から自然消滅することとなりました。オー・カセは、当時としてはニッチな商品であったと言えるでしょう。

その他

商品ロゴは「Ocasse（オー・カセ）」、キャッチフレーズは「テープ独立宣言。テープ着脱自在。」でした。商品名称は、「オー・カセ」「Ocasse」「ニュー オープン・カセットテープ」「OPEN CASSETTE TAPE」「オーカセ」「OPEN CASSETTE」など、複数の表記があり、使い分けは明確ではありませんでした。

オー・カセは、コンパクトカセットとオープンリールの長所を組み合わせようとした、意欲的な試みでしたが、そのユニークな構造と市場環境の変化により、短命に終わった商品でした。

関連情報

関連項目: ティアック、マクセルホールディングス、コンパクトカセット、オープンリール、磁気テープ
* 外部リンク: こんなカセットテープがありました！テープ着脱自在！ リール交換式カセット TEAC オー・カセ

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