カイリ (キングダム ハーツ)

青い海に囲まれた穏やかな島、デスティニーアイランド。

この島で、主人公ソラやその親友リクと共に太陽の光を浴びて育ったのが、赤髪の少女カイリです。彼女の名前は「海」に由来すると言われています。幼い頃にこの島に流れ着いて以来、ソラやリクとはかけがえのない幼馴染となりました。いつも三人で一緒に過ごし、やがては島の外の世界へ旅立つことを夢見ていました。

しかし、彼女の正体は、光の世界の均衡を保つために選ばれた特別な存在、「セブンプリンセス」の一人でした。元々はレイディアントガーデンという世界で暮らしていましたが、幼い頃に闇の探求者であるゼアノートたちの実験対象とされてしまいます。カイリは生まれつき心に一点の闇も持たず、ハートレスを生み出さないという稀有な性質を持っていたため、彼らの関心を引いたのです。ゼアノートは、王様（ミッキー）の話からキーブレード使いの存在を知り、彼らの居場所を探るため、セブンプリンセスであるカイリがキーブレードの勇者と結びつく可能性があると考え、実験として彼女を異空間へと送り出しました。こうしてカイリが辿り着いたのが、デスティニーアイランドだったのです。

さらに、カイリは4歳の頃に偶然、キーブレード使いのアクアと出会い、知らず知らずのうちにキーブレード継承の儀式を行っていました。この出来事により、彼女もまたソラやリクのようにキーブレードを扱う潜在能力を持つことになります。

彼女はシリーズを通して、ソラの故郷への希望、そして旅の目的として描かれます。特に最初の作品『キングダム ハーツ』では、ハートレスに襲われた際に自分の心をソラの中に隠し、その肉体はマレフィセントに囚われてしまいます。ソラはカイリの心を取り戻すために旅を続け、ホロウバスティオンで真実を知ります。そして、カイリの心を解放するために自らを闇のキーブレードで貫き、ハートレスとなりますが、カイリの心のおかげで元の姿に戻ることができました。その後、カイリはソラに再会し、「約束のお守り」を手渡して彼らの旅を見送ります。そして、故郷デスティニーアイランドでソラとリクの帰りを待ち続けることになります。

『キングダム ハーツ チェイン オブ メモリーズ』では、カイリ本人ではなく、彼女のノーバディであるナミネが登場します。ナミネはソラたちの記憶を操る能力を持ち、一時的にソラの記憶からカイリの存在を薄れさせますが、ソラは闇の中の光としてカイリを思い出し、彼女との絆を再確認します。ナミネはリクの前にカイリの姿を借りて現れ、リクが光と闇を共に受け入れる道を選ぶきっかけを与えます。

『キングダム ハーツII』では、一年間の眠りから覚めたソラと共に、カイリも記憶を取り戻し、再会を強く願います。デスティニーアイランドでXIII機関のアクセルに捕まりますが逃走し、ナミネやリクの助けを経てソラとの再会を果たします。この作品で、ナミネがカイリの極めて特殊なノーバディであったことが明かされます。ソラとの再会を果たした後、ゼムナスを倒しナミネと同化しますが、元の世界へ戻る際にソラたちとはぐれてしまいます。しかし、デスティニーアイランドで再びソラとリクとの再会を果たすのです。

『キングダム ハーツ バース バイ スリープ』では、まだレイディアントガーデンに住んでいた幼少期の姿で登場。アクアから闇除けの魔法がかけられたペンダントを貰い、これがデスティニーアイランドへ流れ着く導きとなります。また、この時にアクアのキーブレードに触れたことが、後に彼女がキーブレード使いとなる素養につながります。

『キングダム ハーツ ドリーム ドロップ ディスタンス』では、ソラのマスター承認試験の中で、彼の心の中に映し出される幻影として登場。そしてシークレットエンディングでは、キーブレードの勇者の素質を持つ者として、イェン・シッドのもとに招かれ、七人の光の守護者の候補となります。

『キングダム ハーツIII』では、正式にキーブレード使いとして修行を開始します。修行相手のリア（アクセル）との交流を経て打ち解け、共に力をつけます。最終決戦では仲間と共にゼアノートに対峙しますが、ゼムナスによって捕らえられ、マスター・ゼアノートの手にかかって消滅してしまいます。この出来事がソラの怒りを爆発させ、物語をクライマックスへと導きます。しかし、エンディングでソラが消滅する際に隣にいる姿が描かれます。

その後の詳しい経緯は『キングダム ハーツIII Re Mind』で描かれ、消滅したカイリの心がゼアノートに囚われていたことが判明します。ソラが過去へ飛び、彼女の心の欠片を集めたことで復活。初のプレイアブル操作でアーマー・ゼアノートと戦います。ソラと共にデスティニーアイランドへ帰還しますが、一連の行動の代償としてソラは消滅してしまいます。カイリはソラの行方を探るため、自身の心の中を調べる研究に協力することになります。

『キングダム ハーツ メロディ オブ メモリー』では、彼女が主人公として登場。眠りの中で自身の記憶を辿り、ソラの手掛かりを探す物語が展開されます。記憶の中でマスター・ゼアノートと対峙し、ソラの力を借りて勝利。得られた情報から「裏側の世界」や「クァッドラトゥム」の存在を知ります。実力不足を自覚したカイリは、リクを見送った後、アクアのもとでさらなる修行を積むことを決意するのでした。

カイリは、ただ守られるだけのヒロインではなく、物語が進むにつれて自ら戦う力をつけ、ソラたちの光となる存在へと成長していきます。彼女の存在は、シリーズの核にある友情や絆、そして「心」の物語に深く関わっています。

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