カウキャッチャー (鉄道)

カウキャッチャー（cowcatcher）とは

カウキャッチャーとは、鉄道車両、特に蒸気機関車やディーゼル機関車の前部に取り付けられた、犂（すき）状の部品のことです。排障器の一種であり、線路上に侵入した牛などの大型動物を、なるべく傷つけずに線路外へ跳ね飛ばすことを目的としています。

「キャッチャー」という名前から、動物を受け止める装置だと誤解されがちですが、実際には跳ね飛ばすことが主な役割です。

歴史

カウキャッチャーは、19世紀のアメリカ西部で広く使用されました。当時のアメリカでは、原野を走る鉄道が多く、線路内に牛や馬などの動物が侵入することが頻繁にありました。そのため、多くの蒸気機関車にカウキャッチャーが装着され、事故防止に役立てられました。

日本においても、明治時代の北海道開拓で使用された義経号や弁慶号といった蒸気機関車は、アメリカから輸入されたため、カウキャッチャーを備えていました。

また、中国やベトナムなど、線路周辺に動物が侵入しやすい地域に輸出された日本製蒸気機関車にも、現地でカウキャッチャーが取り付けられた例があります。

路面電車における救助網

蒸気機関車以外では、明治時代や大正時代の路面電車にも、人身事故対策として同様の装置が取り付けられていました。路面電車の場合、カウキャッチャーの代わりに、人を傷つけずに受け止めるための救助網が用いられました。これは文字通り「キャッチする」ための部品ですが、カウキャッチャーとは呼ばれません。

衰退

鉄道車両の高速化が進むにつれて、カウキャッチャーで動物を安全に跳ね飛ばすことが困難になりました。そのため、カウキャッチャーは次第に小型化され、板状のスカートや排障器が主流となりました。現在では、実用的な鉄道車両でカウキャッチャーを見かけることはほとんどありません。

その他のカウキャッチャー

ちなみに、テレビ番組などで放送前に流れるコマーシャルメッセージのことをカウキャッチャーと呼ぶことがありますが、これは鉄道用のカウキャッチャーが語源となっています。

関連項目

排障器
スノープラウ
バンパー
アンチクライマー

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