カウチポテト族

カウチポテト族とは

カウチポテト族とは、ソファー（カウチ）に座り込んだまま、または寝そべった状態で長時間テレビを見るなどして過ごす人を指す言葉です。この言葉は、英語の俗語である「couch potato」を日本語に翻訳し、日本独自の解釈が加わって生まれたものです。

怠惰で運動不足、ジャンクフードばかりを食べる不健康な生活を送っているというイメージを伴うことが多く、物質的には豊かでも精神的に満たされない現代人の姿や、生活習慣病といった問題を象徴する言葉として用いられます。

カウチポテト族の誕生と進化

カウチポテトという言葉が生まれる以前には、テレビ番組の中身の無さを批判する言葉として「boob tube」がありました。その後、1976年にTom Iacinoがテレビの前から動かない人をジャガイモに例え、「couch potato」という言葉が誕生しました。

1980年代には、リモコンやコードレス電話、家庭用ビデオデッキなどが普及し、カウチポテト族はさらに「進化」しました。パソコンの普及により、「マウスポテト族」という言葉も生まれました。

金融コラムニストのスコット・バーンズは、「カウチポテトポートフォリオ」という投資手法を提唱しました。これは、手間をかけずに管理できるポートフォリオとして、リスク資産である株式と無リスク資産である国債をそれぞれ50%持つというものです。

日本における解釈

日本では、「ポテトチップスをつまみながらソファーに座ってテレビを見る」という解釈が広まりました。これは、「カウチ+ポテトチップ=カウチポテト」という連想によるもので、現在でもこのように理解している人が少なくありません。

1987年にニューヨークの週刊誌「New York」が若者の動向を「カウチポテト時代」として取り上げたことがきっかけで、日本でもこの言葉が広まりました。しかし、英語学者からは日本独自の解釈を指摘する声もありました。

1989年版の「現代用語の基礎知識」では、日本における派生語も含めて「カウチポテト」が6分野にわたって取り上げられました。その多くは「ポテトチップスをかじりながら」という解釈でしたが、「都市問題」や「ストレス社会」といったジャンルでも取り上げられ、ライフスタイルや社会問題として扱われました。

現代でも、「孤独を好む現代人の新しいライフスタイル」とする記述が見られます。しかし、「現代用語の基礎知識」では、1991年版においてアメリカでの原義に近い「テレビのゴロ寝」という記述だけが掲載されるようになりました。

日本における類義語としては、1981年ごろに使われた「粗大ゴミ」という言葉があります。これは、定年退職後の男性が一日中ゴロ寝で新聞やテレビを見て過ごす様子を揶揄した言葉です。

ポジティブな意味合いとしては、自宅で先進的なAV機器やインテリアに囲まれながらポテトチップスをつまみ、映画鑑賞を楽しむ様子を「カウチポテト」と表現することがあります。

カウチポテト族は、現代社会におけるライフスタイルや社会問題を考える上で、示唆に富んだ言葉と言えるでしょう。

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