カウナス

カウナスの概要

カウナス（リトアニア語: Kaunas）はリトアニアの第2の都市であり、同国のほぼ中央に位置しています。この街はネムナス川とニャリス川の合流地点にあり、その歴史的な町並みは多くの観光客を惹きつけています。2008年の人口は約355,550人に達し、リトアニアの重要な経済及び文化の中心地の一つです。

歴史と発展

カウナスの歴史は10世紀までさかのぼりますが、1361年には初めて文書に登場します。13世紀には、ドイツ騎士団の攻撃から市を守るために城壁が建設されました。1408年にはマクデブルク法に基づく特許を取得し、交易の中心地としての地位を固めていきました。1441年にはハンザ同盟の都市となり、商業活動が盛んになります。16世紀にはリトアニア大公国の一部としてさらなる発展を遂げ、工業化が進みました。

しかし、17世紀から18世紀にかけてはロシアやスウェーデン、さらにはナポレオン軍による侵攻を受け、疫病の流行も重なり街は荒廃しました。1862年にロシアとドイツを結ぶ鉄道が開通すると、カウナスは重要な交通の要所となりました。1892年には最初の発電所も稼働を開始し、産業が進展しました。

1919年、リトアニア政府はロシアに占領された当時の首都ヴィリニュスからカウナスに移転し、1920年には臨時の首都としての役割を持ちました。その後、第二次世界大戦においてリトアニアを含むバルト三国はソ連に占領され、その後はドイツ軍の侵攻によって大きな被害を受けましたが、戦後は再び工業の発展が始まりました。1991年にソ連が崩壊した際には、リトアニアとして独立を果たしました。

人口と民族

カウナスの人口は歴史的に大きな変動を遂げてきました。1723年には28,000人だったのが、1989年には418,087人に達しました。現在の市民は主にリトアニア人ですが、過去にはユダヤ人やポーランド人の割合が高かったこともあります。2001年のデータによると、リトアニア人が92.9%を占め、ロシア人やウクライナ人、ポーランド人も一定数存在しました。

ユダヤ人の脱出拠点としての役割

カウナスは第二次世界大戦中、迫害を逃れるユダヤ人の避難所となりました。日本領事館に勤務していた杉原千畝は、当時の外務省の意向に反してユダヤ人に査証を発給し、多くの命を救いました。この行動は国際的にも評価され、カウナスの旧日本領事館は現在資料館として保存されています。

世界遺産の登録

カウナスは2023年にユネスコの世界遺産に登録されました。これは第一次世界大戦と第二次世界大戦の間に急速な都市化を遂げた歴史的な背景に基づいています。カウナスの都市のレイアウトや建築物は、特にモダニズムのスタイルを反映しており、過去の重要な時代を示すものとして評価されています。

姉妹都市

カウナスは多くの姉妹都市を持っており、中国の廈門や、日本の八百津町、平塚市など、国際的な交流を行っています。また、ポーランドのヴロツワフ、フランスのグルノーブルなどとも提携しています。

主な出身者

この街からは多くの著名人が輩出されています。フルクサス運動の創始者ジョージ・マチューナスや、画家ベン・シャーン、アナキストのエマ・ゴールドマンなど、様々な分野で活躍した人物がいます。カウナスは、歴史的で国際的な文化が交錯する魅力的な都市です。

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