カウペンス (ミサイル巡洋艦)

カウペンス(CG-63): アメリカ海軍ミサイル巡洋艦の波乱に満ちた艦歴

カウペンス(USS Cowpens, CG-63)は、アメリカ海軍が運用していたタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の17番艦です。その艦名は、アメリカ独立戦争における重要な戦場カウペンスに由来しており、同名艦としては2代目となります。本記事では、カウペンスの艦歴を、その栄光と影の部分を含めて詳細に解説します。

イラク戦争とトマホークミサイル

2003年、カウペンスはイラク戦争において重要な役割を果たしました。アメリカ海軍艦艇として初めてイラク領内に攻撃を行い、37発ものトマホーク巡航ミサイルを発射したのです。この攻撃は、戦争の転換点となる大きな一歩となりました。圧倒的な火力と正確性を誇るトマホークミサイルの運用は、カウペンスの戦闘能力の高さを示す象徴的な出来事でした。

駆逐艦との訓練と女性艦長の解任

平時におけるカウペンスの活動も注目に値します。2009年2月には、沖縄近海で駆逐艦ジョン・S・マケインと合同訓練を実施、いわゆる「ドラッグレース」と呼ばれる高速航行訓練を行ったことが記録されています。この訓練は、両艦の連携と能力向上に貢献しただけでなく、日米同盟の強化を示す象徴的な出来事でもありました。

しかし、2010年1月には、女性艦長であるホリー・グラフ大佐の解任という不祥事が発生しました。報道によると、グラフ大佐は部下に対し、私的なクリスマスパーティーでの演奏や飼い犬の散歩を強要するなど、職権を乱用したとされています。また、部下への侮辱や叱責といった、艦長の立場を著しく逸脱した行為も問題視されました。この事件は、海軍の規律とリーダーシップについて、改めて議論を呼ぶこととなりました。

南シナ海での接近遭遇と退役

2013年2月、カウペンスは第7艦隊から第3艦隊へと所属変更となり、アンティータムと交代しました。同年12月5日には、南シナ海の公海上で中国海軍艦艇と至近距離(500m)まで接近し、緊急回避を余儀なくされました。この出来事は、南シナ海における緊張の高まりを示す象徴的な出来事として記憶されています。

そして2024年8月27日、カウペンスはサンディエゴ海軍基地で退役式を迎えました。長年にわたる活躍に幕を閉じました。その艦歴は、平和と安全を守るためのアメリカ海軍の活動、そして現代海軍における様々な課題を浮き彫りにするものです。

まとめ

カウペンス(CG-63)は、イラク戦争における攻撃参加、中国艦艇との接近遭遇、そして女性艦長による不祥事など、数々の出来事を経験した艦です。これらの出来事は、カウペンスの艦歴を単なる艦艇の記録から、現代海軍の様々な側面を映し出す歴史的記録へと昇華させています。その栄光と影の部分も含めて、カウペンスの艦歴は、未来の世代に貴重な教訓と警鐘を与え続けるでしょう。

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