カウラヴァ

カウラヴァの神話的物語

カウラヴァ（サンスクリット: कौरव Kaurava）は、インドの叙事詩『マハーバーラタ』において中心的な役割を果たす一族の名です。この名は「クルの子孫たち」を意味し、特に盲目の王ドゥリタラシュートラとその妻ガーンダーリーの間に生まれた100人の王子を指します。カウラヴァは、彼らの誇り高い長男であるドゥルヨーダナを首領とし、弟のドゥフシャーサナや叔父のシャクニ、そして御者の息子であるカルナらと共に、同じく王族のパーンダヴァと対立しました。

カウラヴァの生まれ方は非常に神秘的で、物語の中でも特異なエピソードがあります。ガーンダーリーは、ドゥリタラシュートラとの間に子供を妊娠しますが、なんとその出産までに2年もかかりました。その後、ついにガーンダーリーが生んだものは、驚くべきことに、鉄のように硬い肉塊だったのです。

初めはこの肉塊を捨てようとしたガーンダーリーですが、そこにヴィヤーサ仙が現れ、彼女は止められました。仙人は人々に肉塊に冷水をかけるよう指示しました。すると、肉塊は100個の小さな塊に分かれ、こうしてそれぞれの塊はギーで満たされた壷に一つずつ納められ、時を待つことになりました。時が経ち、壷の中から100人の王子と、1人の娘ドゥフシャラーが誕生したのです。

王子たちの誕生に際して、ドゥルヨーダナが生まれたときには、不吉な兆しがいくつも見受けられました。そのため、王の側近たちや賢者たちは、ドゥルヨーダナを捨てるようにと助言しました。しかし、ドリタラーシュトラは親の情からその意見を無視し、息子を見捨てることはしませんでした。

カウラヴァの兄弟たちは、幼少期にパーンダヴァのビーマにいじめられることが多く、その影響で彼らに対して深い怨恨を抱くようになりました。特にドゥルヨーダナは、パーンダヴァたちが常に自分の脅威となることから大きな劣等感を抱き、彼らを排除しようと計画するようになります。彼は、パーンダヴァを罠にはめて暗殺しようとしたり、彼らの王国を詐欺によって奪取し、更に森に追放するという策略を巡らせました。

これらの出来事が引き金となり、王国を取り戻すことを求めるパーンダヴァとの間に壮絶な戦争が勃発します。この戦争はクルクシェートラの戦いとして知られ、ついにカウラヴァは全滅する結果を迎えるのです。

カウラヴァ一族の物語は、家族の悲劇や権力の抗争、そして運命の摂理が織り交ぜられたドラマティックな内容で、これにより『マハーバーラタ』はインドだけでなく、広く人々の心に残る名作となりました。

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