カサンドラ・クロス

『カサンドラ・クロス』

『カサンドラ・クロス』は、1976年に公開されたイタリア、イギリス、西ドイツ、フランス、アメリカによる合作のサスペンス映画です。配給は日本ヘラルド映画が担当しました。本作は、国際的な舞台を背景に、人々の脆さと人間ドラマを描いた作品で、観る者に緊張感を与えます。

あらすじ

スイスのジュネーヴにある国際保健機構本部に、テロリストの3人が医者や救急患者に変装して潜入します。彼らはアメリカセクションの爆破を狙うものの、突如として展開された銃撃戦の結果、計画は失敗。残された二人のテロリストは、細菌類が保管されている立入禁止区域へ逃げ込むが、偶然にも破損したビンの中身に触れ、致命的な病原菌に感染してしまいます。

一方、逃亡したテロリストのエクランドは、さまざまな奇妙な状況の中、ジュネーブからストックホルム行きの国際列車に乗り込みます。病原菌感染の事実は隠蔽され、マッケンジー大佐は感染の拡大を阻止するため、エクランドの捕獲に尽力します。ところが、列車内には著名な神経外科医やその元妻、様々な人種や職業の人々が800人以上乗り込んでいるため事態は複雑を極めます。

チェンバレン博士は、乗客たちの安全を守るために、テロリストを捜索。しかし、その努力も空しく、エクランドは病原菌の症状に苦しむこととなり、感染の恐怖は増すばかり。マッケンジーは乗客の隔離を考え、列車をニュルンベルクへと誘導しますが、この決定が乗客たちの恐れをさらに煽る結果となります。

そして、ニュルンベルクに到着すると、アメリカ軍が防護服を着て待機しており、列車は完全に封鎖されます。人々の間に不安が広がる中、列車はポーランドの隔離施設へ向けて出発します。乗客たちの間に渦巻く恐怖感は、カプランという男が過去のトラウマからパニック状態に陥ることでさらに加速。彼は、過去の囚人生活による記憶から逃げられず、混乱をしく事態を引き起こします。

カサンドラ・クロス

列車が通過する「カサンドラ・クロス」という橋は、老朽化しており、崩落の危険性も囁かれています。この状況を利用し、マッケンジーは列車を意図的に崩落させ、乗客や兵士を道連れにすることで事件の真相を闇に葬ろうと決意します。人間の生死が一瞬で引き裂かれ、善悪の境界が曖昧になるこの映画は、単なる娯楽作品にとどまらず、深いテーマを提供しています。

登場人物

本作には、多彩なキャストが揃い、リアルな人間ドラマが展開されます。女流作家のジェニファー、神経外科医のチェンバレン、国際的な立場で生きる麻薬捜査官ハリー、トラウマを背負ったセールスマンのカプランなど、さまざまな背景を持つキャラクターたちが緊迫した状況の中で織り成すドラマに観客は引き込まれます。

結論

『カサンドラ・クロス』は、人の絆と裏切り、恐怖そして生存本能を描いた作品であり、公開から数十年が経過した今でもそのメッセージは色褪せません。感染の恐怖というテーマは、現代においても強く共鳴し、観る者に深い印象を残します。

もう一度検索