カシャッサ

カシャッサ (Cachaça)

カシャッサは、ブラジルを代表する蒸留酒で、主にサトウキビを原料として製造されています。ポルトガル語では「カシャッサ」と発音されることが一般的ですが、地域によっては「ピンガ」や「カニーニャ」とも呼ばれています。ブラジル国内には約15,000の蒸留所があり、4,000以上のブランドが存在しています。

歴史的背景

カシャッサの起源は1532年にさかのぼります。この年、ポルトガルの探検家マルチン・アフォンゾ・デ・ソウザによってサトウキビがブラジルに持ち込まれ、サンパウロ州のサンヴィセンチで最初のサトウキビ畑が形成されました。その後、1536年には蒸留機が輸入され、サトウキビから蒸留酒が生産され始めました。

カシャッサの誕生には二つの説があります。一つは、砂糖の生産過程で偶然に発見された発酵液が広まったというものです。砂糖精製の際に捨てられていた泡が一晩置くと発酵液に変わり、当時働かされていた黒人奴隷たちがそのお酒の効果に気づいたという流れです。

1622年、オランダの入植者が持ち込んだ蒸留機によってカシャッサの製造法が進化し、品質が向上しました。1789年には独立運動が起こり、その際に「独立の乾杯はカシャッサで」とのスローガンが掲げられました。このように、カシャッサはブラジルの歴史において重要な役割を果たしてきました。

近代では、カシャッサの大量生産が行われ、有名なブランドが広まりましたが、最近では伝統的な製法で作られる職人製のカシャッサも再評価されています。この流れを作ったのが、ミナス州のアニジオ・サンチアゴ家が1943年に創業した「Havana」です。

名称と分類

カシャッサには地域ごとに異なる呼称があります。リオでは「カシャッサ」が標準語とされていますが、サンパウロでは「ピンガ」、南部では「アグアルディエンテ・デ・カニャ」と呼ばれることがあります。カシャッサの名前は、「房」を意味するポルトガル語「Cachos」に由来しており、その歴史的な背景があります。

カシャッサは大きく分けて、量産される大衆ブランドと、職人が手作りする非量産の地酒に分類されます。職人のカシャッサは「カシャッサ・アルチサナゥ」と呼ばれ、一般的に高い品質が保たれています。

製法と定義

カシャッサは、サトウキビの搾り汁を加水せずに直接発酵させ、蒸留することで作られます。アルコール度数は38%から54%の範囲にあり、6グラムまでの加糖が認められています。また、特にミナス・ジェライス州では、添加物を使用せずに製造することが法律で定められています。

カシャッサとラム[[酒]]の違い

カシャッサとラム[[酒]]は、共にサトウキビを原料としていますが、ブラジルではそれぞれを明確に区別しています。カシャッサは発酵時にサトウキビの生汁を使用しますが、ラム[[酒]]は廃糖蜜が主成分となるため、その製法や風味に違いがあります。

カクテル文化

カシャッサは多彩なカクテルの基盤としても利用されています。代表的なカクテルには「カイピリーニャ」や「バチーダ」があり、これらは果物を用いた様々なバリエーションが楽しめます。

カシャッサは、その深い歴史と豊かな風味によって、多くの人々に愛され、ブラジルの文化に根ざした飲み物として位置付けられています。

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