カジャグーグー

カジャグーグー：80年代を彩ったニュー・ウェイヴ・バンドの栄光と挫折、そして再生

1980年代前半、世界中で一世を風靡したイギリスのニュー・ウェイヴ・バンド、カジャグーグー。その華麗なるキャリアと、メンバー間の複雑な人間関係、そして幾度かの再結成劇までを紐解いていきます。

結成とブレイク

カジャグーグーの起源は、ロンドン近郊レイトン・バザードで活動していたバンド、「アール・ヌーヴォー」に遡ります。ニック・ベッグス、スチュワート・ニール、スティーヴ・アスキュー、ジェズ・ストロードという4人は、それぞれ別のバンドで活動していましたが、ある倉庫でのジャムセッションがきっかけで意気投合。アール・ヌーヴォーを結成し、地道なライブ活動を開始します。しかし、ブレイクには至らず、彼らは新しいボーカリストを探し始めました。

一方、俳優兼歌手を目指していたクリストファー・ハミルは、ソロ活動に励んでいましたが成功を収められず、バンドへの加入を希望していました。彼はバンド募集広告を通じてアール・ヌーヴォーに合流し、バンド名は「カジャグーグー」へ改名。ハミルは「リマール」と名乗り、新生カジャグーグーはメジャーデビューを目指して曲作りに励みます。

1981年、デュラン・デュランとの接点を通じてプロデューサー、ニック・ローズと出会ったカジャグーグーは、EMIレコードと契約。1982年12月、デビューシングル「Too Shy」をリリース。この曲はUKチャートで1位を獲得する大ヒットとなり、ヨーロッパ諸国でもトップに輝き、米国でも5位を記録しました。続くシングル「Ooh To Be Ah」もチャート入りを果たし、勢いに乗って1stアルバム『White Feathers』を発表。順風満帆に見えたカジャグーグーでしたが、ここに暗雲が立ち込めます。

リマールの脱退とバンドの転換

デビューの成功をきっかけに、リマールは作詞作曲におけるギャランティ配分について、バンドメンバーと激しい対立を起こします。この確執により、1983年7月、リマールは「音楽の方向性の違い」を理由に脱退しました。しかし、真相はリマールの過剰な要求と、他のメンバーとの意見の食い違いによるものでした。

リマール脱退後も、カジャグーグーは活動を続けました。新曲「Big Apple」を発表しチャート入りを果たすなど、一定の成功を収めますが、リマールの存在感は大きかったため、以後の活動は伸び悩みました。そして、1985年、ジェズ・ストロードの脱退を機にバンドは解散します。

メンバーそれぞれのソロ活動と再結成への道

解散後、メンバーはそれぞれソロ活動を開始します。リマールはソロ歌手として成功し、映画『ネバーエンディング・ストーリー』の主題歌なども歌いました。ニック・ベッグスは、様々なアーティストのプロデュースやセッションに参加し、ベーシストとして高い評価を得ました。他のメンバーも、音楽活動や、音楽関連ビジネスに関わって行きました。

時が流れ、1990年代後半から2000年代にかけて、80年代音楽の再評価が高まると、カジャグーグー再結成の機運が高まります。いくつかの試みがありましたが、メンバー間の確執が完全に解消されたわけではなかったため、再結成は難航します。

2003年、アメリカのケーブルテレビ番組の企画で、20年ぶりにオリジナルメンバー5人が集結し、一夜限りのライブを行いました。この奇跡の一夜が、再び再結成に向けた動きを加速させます。

再結成と新たな挑戦

2004年、リマールとジェズを除いた3人でカジャグーグーは活動を再開。新曲を発表したり、過去のアルバムを再発したりしながら活動を継続しました。しかし、メンバー間の関係は依然として複雑であり、完全な再結成には至りませんでした。それでも、彼らは新たな楽曲を発表し続け、2007年には、23年ぶりとなるシングル「Rocket Boy」を発表しました。

2008年には、再びオリジナルメンバー5人でのライブを行い、2009年には、新しいアルバムを発表する計画も立てられました。しかし、メンバー間の関係が完全に修復されたわけではなく、その後も、活動の休止と再開を繰り返すことになります。

結論

カジャグーグーは、80年代を代表するニュー・ウェイヴ・バンドとして、その名を世界に轟かせました。しかし、メンバー間の確執や、音楽業界の変動など、様々な困難にも直面しました。再結成と解散を繰り返しながらも、彼らは音楽活動を続け、それぞれの道を歩み続けています。彼らの音楽は、時代を超えて多くの人々の心に響き続けるでしょう。それぞれのメンバーのソロ活動も成功を収め、80年代の音楽シーンに大きな足跡を残したことは間違いありません。彼らのストーリーは、音楽における成功と挫折、そして人間関係の複雑さを物語る、一つの象徴と言えるでしょう。

もう一度検索