カスペルスキー

カスペルスキーの概要

カスペルスキー（ロシア語: Лаборато́рия Каспе́рского）は、1997年にユージン・カスペルスキーとナターリア・カスペルスキーによって設立されたコンピュータセキュリティ会社です。ロシア連邦の首都モスクワを本拠地としており、正式には“ZAO”という名称の下で運営されています。この“ZAO”はロシア語で非公開株式会社を意味します。

海外展開と事業内容

カスペルスキーは、2005年から2010年にかけて海外市場への進出を果たし、現在では約200の国や地域で事業を展開しています。その顧客は約4億人にも上り、2020年には年間売上高が7400万ドルに達しました。アメリカ、イギリス、フランスなど多くの国に支社を構えており、日本には2004年に設立された株式会社カスペルスキーがあります。

製品ラインナップ

カスペルスキーの提供する主な製品には次のものがあります：

• - Kaspersky Internet Security (KIS)：インターネットセキュリティのためのスイート。
• - Kaspersky Anti-Virus (KAV)：基本的なアンチウイルスソフトウェア。
• - カスペルスキー セキュリティ for Mac：Mac OS Xに対応したセキュリティソフト。
• - カスペルスキー モバイル セキュリティ for Android：Androidデバイス向けのセキュリティソフト。
• - Kaspersky Open Space Security：法人向けのインターネットセキュリティスイート。
• - KasperskyOS：セキュリティ重視の独自オペレーティングシステム。

主な歴史的出来事

カスペルスキーはその発展の過程でいくつかの問題も抱えてきました。2007年には特定のOSで特定のバージョンアップにより起動不能になる不具合が報告され、その後も様々なソフトウェアの更新に伴う不具合が発生しました。2009年には企業向けの新パートナープログラム“GREEN TEAM”を導入するなど、ビジネスモデルの刷新を図っています。

政府との関係や疑惑

2017年には、自社が開発したKasperskyOSの提供を開始し、その後すぐにアメリカ政府による同社製品の使用を禁止する動きがありました。これによりカスペルスキーは、ロシア政府との関係を否定しつつも、透明性センターの設立を表明しました。2018年以降、顧客データをスイスに移管するなど、外部の監査を受ける体制を整える努力を続けています。

最近の動向

2022年3月、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、アメリカの連邦通信委員会はカスペルスキーを国家安全保障上の脅威と見なす企業のリストに追加しました。そうした状況の中、2024年には同社のアメリカ国内での営業が全面的に禁止されることとなりました。これに伴い、同月20日からアメリカでの事業を終了することを発表しました。

まとめ

カスペルスキーは、様々な国で多くのユーザーに利用されているセキュリティ企業ですが、近年の地政学的な緊張が同社のビジネスに大きな影響を与えています。今後の動向が注目される企業です。

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