カタリナ事件

カタリナ事件概要

カタリナ事件（スウェーデン語: Catalinaaffären）は、1952年6月に発生した重大な国際的軍事事件です。この事件では、ソビエト連邦のジェット戦闘機がバルト海上の公海でスウェーデン空軍の機体2機を攻撃・撃墜しました。この事件は冷戦の最中に起きたもので、当時の国際関係の緊張を一層悪化させる要因となりました。

撃墜された機体と搭乗員

事件の初めにソ連によって撃墜されたのは、ダグラス DC-3A-360 スカイトレイン（スウェーデン空軍名称Tp 79 Hugin）という軍用輸送機でした。この機体はシリアルナンバー79001で、1952年6月13日にスウェーデン国防電波局の任務中、行方不明になりました。搭乗していた8名のうち、3名はスウェーデン空軍の軍人で、残りの5名は文民のシギント要員でした。

• - 搭乗員名簿

- アルヴァー・エルメベリ（パイロット）
- イェスタ・ブラッド（航法士 / 通信士）
- ヘルベルト・マットソン（航空機関士）
- エイナール・ヨンソン（シギント班 指揮官）
- イーヴァル・スヴェンソン（シギント要員）
- エリク・カールソン（シギント要員）
- ベント・ブーク（シギント要員）
- ボルゲ・ニルソン（シギント要員）
最近の調査で、この機体は1943年にアメリカで製造され、様々な軍歴を持ちながらスウェーデンの状況に加わったことが分かっています。

二度目の撃墜

最初のDC-3の撃墜からわずか3日後の1952年6月16日、スウェーデン空軍は行方不明になったDC-3を捜索するために、2機のカタリナ機（コンソリデーテッド PBY-5）を派遣しました。このうちの1機がソ連軍機に撃墜され、乗員5名の命は救われましたが、事件の影響は深刻でした。

事件の反響とソ連の否定

ソ連は当初、DC-3の撃墜を否定しましたが、のちにその証拠が発見されました。1956年には、ソビエト連邦の指導者ニキータ・フルシチョフがスウェーデンの首相と会談した際、事実上の責任を認めましたが、この情報はその時公にされることはありませんでした。スウェーデン政府は、DC-3が航法訓練を行っていたと主張していましたが、犠牲者の遺族からの圧力により、スパイ活動を行っていたことを認めざるを得なくなりました。

引き揚げ作業

事件から52年後の2003年、スウェーデンの航空会社の機長と歴史家が協力し、ソナーを使用してDC-3の残骸を発見しました。この調査では、パイロットのエルメベリの遺体も確認されました。2004年には、DC-3の残骸が引き揚げられ、後にスウェーデン空軍博物館で展示されることになりました。

結論

この事件はスウェーデンとソビエト連邦の間に長らく残った緊張の一因となり、国際関係に影響を与えました。撃墜されたDC-3の調査の結果、搭乗員の遺体の一部が特定されたこともあり、2004年6月には追悼式典が行われました。多くの人々が当時の状況に思いを馳せ、犠牲となった8名に金のスウェーデン国防軍功労勲章が授与されました。カタリナ事件は、冷戦下の国際関係における重要な歴史的出来事であり、今なお多くの人々の記憶に刻まれています。

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