カタリーナ・フォン・シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン＝ゾンダーブルク＝ベック

カタリーナ・フォン・シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン＝ゾンダーブルク＝ベックは、1750年2月23日にレヴァル（現在のタリン）で生まれ、1811年12月20日にベルリンで亡くなったドイツ・デンマーク系の公女です。彼女はシュレースヴィヒ＝ホルシュタイン＝ゾンダーブルク＝ベック家の公爵ペーター・アウグストと、その2番目の妻であるナターリヤ・ニコラエヴナ・ゴロヴィナの間に生まれた唯一の子供でした。母方の祖父は宰相フョードル・ゴロヴィン伯爵で、カタリーナは母の死後、モスクワ郊外のホヴリノ荘園を含む莫大な遺産を相続しました。

父ペーター・アウグストはロシアの陸軍元帥であり、エストニア総督も務め、ホルシュタイン＝ゴットルプ家出身の皇帝ピョートル3世と親しい関係にありました。ピョートル3世は短期間の治世（1762年）において、廃位されたイヴァン6世の皇族復帰を企て、イヴァンにカタリーナを娶せようとしていたと言われています。カタリーナは10歳の時に聖エカテリーナ勲章を授与されています。1767年1月8日、レヴァルでイヴァン・セルゲーエヴィチ・バリャティンスキー公爵と結婚し、1男1女をもうけました。1773年には夫が駐仏大使に任命されたため、パリに滞在し、1774年のルイ16世の戴冠式にも出席しました。

パリ滞在中にアンドレイ・ラズモフスキー伯爵との間に不義の子を密かに産んだことがきっかけで夫婦関係は破綻し、事実上の別居状態となりました。その後、カタリーナはサンクトペテルブルクに移り、1783年から1789年まで、ミリオナヤ通り22番地に購入した邸宅でサロンを開き、多くの知識人や芸術家が集いました。その後、ヨーロッパ各地を転々とし、最終的にベルリンに落ち着き、パリザー・プラッツの邸宅を購入して暮らしました。1800年3月29日にはベルリン郊外のフリードリヒスフェルデ城も購入しています。この城は、第四次対仏大同盟戦争中の1806年に、ダヴー元帥率いるフランス軍の司令部として一時的に使用されました。カタリーナはプロイセン王の許可を得て、出生時のドイツ名を使用し、亡くなるまでプロイセン王家の人々と親密な交流を続けました。

彼女の子供たちは以下の通りです。

イヴァン・イヴァノヴィチ・バリャティンスキー（1772年 - 1825年） - バイエルン駐在のロシア大使を務めました。
アンナ・イヴァノヴナ・バリャティンスカヤ（1774年 - 1825年） - ニコライ・アレクサンドロヴィチ・トルストイ伯爵と結婚しました。

カタリーナは、その生涯を通じて、ヨーロッパの歴史と文化に深く関わりました。彼女のサロンは、芸術、文学、政治に関する議論が交わされる重要な場所となり、彼女自身もまた、その知性と魅力によって多くの人々を惹きつけました。彼女の波乱に満ちた人生は、当時の貴族社会の複雑さと、個人の生き方を考える上で多くの示唆を与えてくれます。また、彼女の遺産は今日まで、歴史的な資料として貴重な価値を持っています。

参考文献として、E.P. Karnovichの著書「The remarkable wealth of individuals in Russia」があります。

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