カタリーナ・ミカエラ・デ・アウストリア

カタリーナ・ミカエラ・デ・アウストリア：サヴォイア公妃としての生涯

カタリーナ・ミカエラ・デ・アウストリア（1567年10月10日 - 1597年11月6日）は、スペイン王フェリペ2世と王妃エリザベート・ド・ヴァロワの間に生まれた王女であり、後にサヴォイア公カルロ・エマヌエーレ1世の妃となりました。彼女は、その生涯を通して、政治的な才能と文化への貢献で知られています。

生い立ちと結婚

1567年、カタリーナ・ミカエラはマドリードで誕生しました。父フェリペ2世と継母アナに可愛がられ、愛情深く育てられました。幼少期から美しく知的で、自身の高い身分を自覚していたと伝えられています。父との関係は良好で、結婚後も手紙のやり取りを続けていたそうです。

1585年3月11日、カタリーナはサラゴサでサヴォイア公カルロ・エマヌエーレ1世と結婚しました。この結婚は、サヴォイア公国がスペインからの支援を得るための政治的な策略でした。結婚後、夫婦はトリノへ移り住み、新たな生活を始めました。

サヴォイアでの生活

トリノの宮廷に到着した当初、カタリーナ・ミカエラはスペイン式の習慣を持ち込んだため、傲慢であると見なされ、貴族たちから反感を買いました。しかし、彼女はすぐにその優れた政治的能力を発揮し、外交においても重要な役割を果たすようになりました。父フェリペ2世からの干渉を許さず、スペイン軍の駐屯を拒否するなど、独立した立場を貫きました。

カタリーナは夫のカルロ・エマヌエーレ1世にも大きな影響を与え、政治家として成長させました。夫が不在の間には、摂政として国政を担うこともありました。また、トリノの文化的な発展にも大きく貢献し、ギャラリーを増設したり、トルクァート・タッソやガブリエッロ・キアブレーラといった詩人たちのパトロンになったりしました。

死と遺産

1597年、カタリーナ・ミカエラは五女ジョヴァンナを出産した直後に亡くなりました。ジョヴァンナは夭折しましたが、カタリーナは10人の子供たちを産み育てました。彼女の死は、父フェリペ2世にとっても大きな悲しみでした。翌年にはフェリペ2世も亡くなっています。

カタリーナ・ミカエラは、その短い生涯の中で、政治と文化の両面で多大な影響を与えた女性でした。当初は異質な存在として見られたものの、その才能と努力によってサヴォイア宮廷での地位を確立し、後世にその名を残しました。

子女

カタリーナ・ミカエラは、カルロ・エマヌエーレ1世との間に以下の10人の子供をもうけました。

フィリッポ・エマヌエーレ (1586年 - 1605年): サヴォイア公
ヴィットーリオ・アメデーオ1世 (1587年 - 1637年)
エマヌエーレ・フィリベルト (1588年 - 1624年)
マルゲリータ (1589年 - 1655年): マントヴァ公フランチェスコ4世妃
イザベッラ (1591年 - 1626年)
マウリツィオ (1593年 - 1657年)
マリーア・アポッロニア (1594年 - 1656年): 修道女
フランチェスカ・カテリーナ (1595年 - 1640年): 修道女
トンマーゾ (1596年 - 1656年): カリニャーノ公
ジョヴァンナ (1597年): 夭折

カタリーナ・ミカエラの子供たちは、その後のヨーロッパの歴史においても重要な役割を担いました。彼女の遺産は、政治的な影響だけでなく、文化的な側面においても、サヴォイア家を通して長く受け継がれています。

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