カッティングプロッタ

カッティングプロッターとは

カッティングプロッターは、コンピュータ制御によって、シート状の素材を切断するための機械です。ドローソフトやCADソフトで作成したデータに基づき、非常に鋭利なナイフがシート上を移動し、指定された線を正確に切り抜きます。

カッティングプロッターの仕組み

カッティングプロッターは、ペンプロッターと似た構造をしていますが、ペンの代わりにナイフが取り付けられています。このナイフは玉軸受に取り付けられており、切断方向に合わせて自然に回転します。また、ナイフがシートに接する圧力も調整可能です。コンピュータで作成したベクターデータをプロッター制御ソフトに入力することで、ナイフがその線に沿って移動し、シートを切断します。

カッティングプロッターの用途

カッティングプロッターは、その汎用性から幅広い分野で利用されています。

ステッカー作成: オリジナルのステッカーを簡単に作成できます。
看板・ポスター製作: 店舗の看板やポスターのパーツを切り出すのに利用されます。
ウィンドウ装飾: ショーウィンドウや店舗の窓の装飾に活用されます。
バイナルグラフィックス: 車やバイクのボディにデザインを追加したり、社名を表示したりするのに用いられます。
型紙の作成: 衣服の型紙を正確に切り出すことができます。
アパレル産業: 衣服の材料となる布のカットに利用されています。
Tシャツプリント: Tシャツに文字やデザインを後からプリントする際にも使われます。
その他: シート状の材料を扱う様々な工場で利用されています。

切断対象となる素材

カッティングプロッターで切断する素材として一般的なのは、「マーキングフィルム」や「装飾用シート」、「カッティングシート」などと呼ばれる、裏面に接着剤と裏紙がついたビニールシートです。これらのシートは様々な色が用意されており、ロール状で販売されています。

通常、カッティングプロッターで加工できるのは単色のシートのみです。そのため、多色デザインを作成する場合は、それぞれの色のシートを切り抜き、組み合わせる必要があります。また、薄い磁石マットもカットすることが可能です。

カッティングプロッターの歴史

カッティングプロッターは、1980年代後半から登場しました。初期は業務用の大型機種が中心でしたが、近年では家庭用モデルも普及しています。

1987年: Summa社が初のビニールカッターを発売。
1988年: Roland社が初のCAMM-1シリーズを発売。
1996年: Roland社がコンパクトなカッティングプロッター「STIKA」を発売。
2013年末: ブラザー工業がスキャナー内蔵のカッティングプロッター「ScanNCut」を発売。

近年では、USB接続でパソコンに接続できる低価格な機種も登場し、ペーパークラフトの素材の切り抜きなど、幅広い用途で利用されています。また、ペンを装着することで、通常のプロッターのように描画も可能な機種や、印刷された線に沿って自動で切り抜くトンボ機能を持つ機種もあります。

カッティングプロッターとインクジェットプリンター

以前は看板やポスターの製作にカッティングプロッターが広く使われていましたが、現在では、大判のインクジェットプリンターで直接印刷することが主流です。インクジェットプリンターは多色印刷が可能で、写真や微妙な色の変化も表現できます。ただし、印刷したデザインを輪郭に沿って切り抜く作業には、現在でもカッティングプロッターが使われています。

カッティングテーブル

通常のカッティングプロッターは、裏紙付きのビニールシートを対象とします。しかし、布や皮革などの裏から保持できない素材を切り抜くことはできません。そこで利用されるのがカッティングテーブルです。カッティングテーブルは、テーブル表面に無数の小さな穴が開いており、素材を置いて、上からプラスチックシートで覆い、真空ポンプで吸着して固定します。これにより、布などの柔らかい素材や、厚みのある素材、重い素材の切断が可能になります。

主なメーカー

カッティングプロッターの主なメーカーには、以下のものがあります。

グラフテック株式会社
ローランドディー. ジー.
ブラザー工業
MIMAKI
Eastman
GERBER TECHNOLOGY
Colex
GCC
INFOTEC CNC
SUMMA

まとめ

カッティングプロッターは、コンピュータ制御による精密な切断を実現する機械であり、その多様な用途から、業務用途から家庭用まで幅広く利用されています。技術の進歩に伴い、より手軽に、そして高品質な加工が可能になっています。

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