プロッター

プロッターとは



プロッターは、コンピュータの出力機器の一種で、ベクターデータ（線を表現したデータ）を基に動作します。この装置は、線データを紙の上に線として描画する際、内部的には点の集まりのように扱い、X,Y座標を指示してペン先の位置を制御し、線を「plot（描く）」という発想から「plotter」と名付けられました。当初はペンを用いたため「ペンプロッター」と呼ばれましたが、後にペン以外の金属刃やインクジェット、レーザーを搭載したプロッターも登場しました。

プロッターの種類



プロッターは、様々な分類方法があります。

- ペンプロッターは、ペンを用いて描画するタイプ。
- ペンレス・プロッターは、インクジェット、感熱式、静電、レーザー、LEDなどを用いて描画するタイプ。
  • - ペンレス・プロッターの詳細分類:
- インクジェットプロッター、感熱プロッター、静電プロッター、レーザープロッターなど。
  • - ラスタプロッタ: ベクトルデータを点の集合に変換してビットマップデータを出力するタイプ。
  • - カッティングプロッタ: ペンの代わりに金属刃を装着し、フィルムや紙などをカットするタイプ。
  • - フラットベッドタイプ / ドラムタイプ:
- フラットベッド方式は、シートを固定し、ヘッドが2次元的に移動するタイプ。
- ドラム方式は、ドラムが回転しシートが前後に移動、ヘッドは左右に動くタイプで、省スペース性が特徴。

プロッターの歴史



黎明期 (1950年代～1970年代)

最初のプロッターは、1953年にレミントンランド社によって発明されました。UNIVACコンピュータと組み合わせて技術図面を描くために使われ、メモリが高価で処理能力が限られていた時代において、高解像度のベクターイメージを描く最速の手段でした。初期のプロッターは、ペンを紙に置いたり、持ち上げたり、直線を引いたりと、ペンの動きを細かく制御する必要があり、HPGL2やDMPLといった制御言語が開発されました。

1950年代後半から1970年代には、ローラーで紙を動かし、ペンをY軸方向に動かすタイプや、製図用パンタグラフの機構を利用したプロッターが登場しました。1970年代には、HPやテクトロニクスが小型のフラットベッド型プロッターを発売しました。移動するバーにペンが取り付けられ、バーがX軸方向に、ペンはY軸方向に動く仕組みです。

普及期 (1980年代)

1980年代には、HPが小型軽量なHP 7470を発売し、紙の両端を挟んで動かす機構を採用しました。これにより、プロッターはビジネスや研究室で人気となりましたが、描画速度は遅く、印刷用途には不向きでした。この時期、プレゼンテーションソフトの先祖となる、プロッターでOHPシートに文字や図を描く用途も登場しました。

衰退期 (1990年代～2000年代初頭)

インクジェット[[プリンター]]やレーザープリンターが高精細な図を印刷できるようになり、メモリやコンピュータが低価格になったことで、ペンプロッターは衰退しました。ただし、プロッターの制御言語は、効率的な描画方法として現在も活用されています。

再評価期 (2010年代以降)

2010年代に入ると、プロッターが再び注目を浴びるようになりました。レーザー刻印やカッター機能付きのペンプロッターが3D[[プリンター]]によって安価に製造可能になり、個人でも利用できる環境が整いつつあります。特に、ペンで紙に線を引くというアナログな表現は、デジタル技術とは異なる魅力があります。

ペンプロッターの詳細



ペンプロッターは、ペンで線を描くため、線画に限定され、ビットマップ画像は描けません。複雑な線画を描くことができますが、描画速度はプリンターに比べて遅いです。また、塗りつぶしはハッチングで代用されます。主な用途は製図やCADで、高精細な図を大判の紙に出力することが得意です。また、視覚障害者が触覚で絵を認識するためのツールとしても用いられています。ペンプロッターの速度は、ペンの速度と加速度で比較され、使用するペンの種類によっても速度が制限されます。

カッティングプロッター



カッティングプロッターは、ペンの代わりに金属刃を装着し、フィルムや紙などをカットするプロッターです。フラットベッド方式のプロッターは、以下の部品で構成されています。

  • - ベッド：土台となる板状の部品
  • - レール/シャフト：ヘッドがX軸とY軸に沿って移動するための部品
  • - ステッピングモーター：ヘッドの移動を制御
  • - ベルト：モーターの動力を伝達
  • - ヘッド部：刃を取り付ける部分
  • - 制御基盤：全体の動作を制御
  • - 電源基盤：電力を供給

プロッターの現代的な活用



2000年代中ごろから、アーティストやハッカーの間で、カスタマイズ可能な出力機器としてプロッターが再評価されています。古いペンプロッターでも動作するものが多く、現代の商用ソフトウェアで直接駆動できない場合でも、HPGLを扱えるソフトウェアパッケージが利用可能です。

まとめ



プロッターは、ベクターデータを基に線を描画するユニークな出力機器です。CAD製図などの専門用途から、近年ではクリエイティブな表現まで、幅広い分野で活用されています。その歴史を理解することで、プロッターの魅力をより深く感じることができるでしょう。

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